LOVEFATE~理由~

「――英梨。

悪いけど、それは出来ない」


俊ちゃんは私に手を伸ばすがその手は私に触れる事なく、

下ろされた




「――俊ちゃん」



「兄貴達が結婚したから、
俺ら親戚になるんだよな?

だから、また、嫌でもいつか会うと思う」




「――うん」



この先、冠婚葬祭で俊ちゃんと顔を合わす事は、
あるだろう





「俺、死ぬ迄英梨だけが好きだから。

今すぐじゃなくても、
またいつかやり直せる日が来ると思ってる」


俊ちゃんは再び私の方に手を伸ばし、

今度こそ私の頬に触れた




「だから、今は諦める」


その手は、私の頬から離れた



頬に、俊ちゃんの温もりが残ってる





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