LOVEFATE~理由~
「――ちょっと、仕事で」
そう言うと、
そっか、と俊ちゃんの表情は曇る
私の仕事は、そうやって俊ちゃんを悲しませるもの
「その、頬の腫れも、そう?」
俊ちゃんは私に近付き、
そっと私の頬に触れる
「あ、これは違う」
凄く腫れていると自分でもなんとなく分かっていたが、
触られてそれに気付いた
尋常じゃないくらいに、
腫れている
そう言えば、成瀬社長って空手の有段者だったはず……
本気で、痛かったからなぁ
「俺より、重傷じゃん」
俊ちゃんは手で、
自分の前髪をあげた
おでこがうっすらと、
赤くなってる
「着水の瞬間、凄い衝撃で。
シートベルトしてたんだけど、
前のめりなって」
周りを見ると、
俊ちゃんと同じように
JAN1231便に乗り合わせていたと思う乗客の人達が沢山いた
そして、その家族も
みんな寄り添い合い、泣いたりしている
振り返ると、泣いてる蘭子ちゃんを、
亮ちゃんとお母さんが宥めていて
俊ちゃんのお母さんも、
うずくまり泣いている