LOVEFATE~理由~
「――私、今使ってるスマホ解約するんだ。
昔の携帯がまた自分の手元に戻って、
もう必要ないかなって」
それ以上の言葉を伝える事は、
苦しい
「――そうっすか」
篤君は、その言葉だけで私の気持ちを汲み取ってくれたみたい
今、一番寂しそうな顔をしている
「あ、けど、篤君にはそっちの携帯の番号も教えておこうかな」
いざとなると、
可愛い篤君と生涯会えなくて、
連絡も取れなくなるのは辛すぎる
「それは駄目っすよ。
まりえさんらしくないから」
私、らしいかぁ
きたまりえの私ならば、
一度決めたらどれだけ辛くても、
それを貫き通したはず
けど、私はもうすぐ、
まりえじゃなくなる
「そうだよね」
だけど、この先篤君を必要としないのは、
英梨である私だから
「もう1本、貰います」
篤君は、テーブルの上の新しいビールに手を伸ばした
「うん。私ももう1本飲もう」
飲まないと、泣いてしまいそう