色の雫 - The seven colors -
謎の大きな建物 - large building like Corosseo -
―謎の大きな建物―
雄也は気が付くと大きな建物のド真ん中に立っていた。その時は体を目映い白い光が包んでいたが、すぐに解けてしまった。ところでこの建物には上方に観客席があるが、観客は誰一人いない。それは真夜中のコロッセオのようだが、そんな美しい世界遺産のようなものではない。まさに時の狭間に封印された円塔廃墟のようであった。
「何だ、今の光……?……それよりここは一体……?」
『ここはお前がさっきいた場所に存在していた闘技場だ。その昔、ここでは力のある者どうしが競い合っていた。だが、今では活気の無くなったただのでかい建物に過ぎない。』
雄也の上から声が聞こえた。それは重く響くまるで雷鳴のような声であった。
「その前に……いいですか?」
『うぬ?』
雄也が疑問に思うのは当然であった。誰か全く想像がつかない相手が自分の真上から話し続けているのである。変に思わない人の方がおかしいのだ。
「あなたは……だれですか?」
『……む』
「……え?」
『いや……』
歯切れが悪い反応であったが、雄也は気にせず続けた。
「まぁ……別にいいんですけど……俺をなぜここに?」