色の雫 - The seven colors -

間一髪、ヴォルトは助かった。いや、助けられたが正しい。そしてヴォルトに近づいてくる1人の男がいた。

「大丈夫……？」

「あ、はい……なんとか。」

いつの間にか尻餅をついていたヴォルトに手を差しのべながら男はヴォルトに話しかけた。

「僕の名前はジェント。君の名前は……？」

「ヴォルトっていいます。あの、さっきは助けて頂いてありがとうございました。」

「いやいや、礼には及ばないよ。それより怪我は無い？」

「あ、ハイ、大丈夫です。」

ジェントと名乗ったその男は、灰色の服の上に灰色のロングコートを羽織っている。灰色に灰色、本当に灰色1色であった。しかし特筆すべき点は、武器のような物は持っていないところだ。