色の雫 - The seven colors -
「おい……大丈夫か?」

…………ここは?

「本当に死んでしまったのか?」

誰だ?何でそんなことを聞く?

「そんなことは無い。絶対に無い!!」

「……え?」

ヴォルトは目を覚ました。自分の目の前には年相応な格好をした老人が1人たたずんでいた。辺りを見渡すと、どうやらぶっ倒れた場所で数時間が経過したみたいであった。辺りがまっ暗だ。

「よかったよかった。本当に死んでしまったのかと思っていたぞ。」

「はあ……ところであなたは……?」

「ワシか?名前は……思い出せん。何しろ年でな……」

そう言って老人は笑った。ヴォルトも微かに笑った。しかし名前を忘れる老人なんて本当にいるのか。そう思わざるを得なかった。

「あの……つかぬ事をお聞きしてもよろしいでしょうか?」

「なんじゃ?」

「あなたは……この世界の人なんですか?」

この質問に老人は黙り込んだ。ヴォルトがそう感じた理由。それは難しい理論なんて必要の無い、単純明快なものだった。老人には色があった。

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