色の雫 - The seven colors -
とヴォルトが思った途端、老人の杖から大きな力を感じた。次の瞬間、《猿》が来ていた道を燃やした。それはまるでガソリンを道一面に撒き散らし、火をつけたかのような光景だった。言葉そのまま、灼熱地獄。ヒルムガードのかかっている上着を着ても少し暑いくらいであった。

「……す、スゴい……」

言葉を失ったヴォルト。《猿》の気配が一瞬にして無くなったのを確認したのか、

「もういいかの……」

そういって老人はまたも杖を道に向けた。すると何も無かったかのように火が消えたのだった。

「おじいさんは魔法使い、僕が剣士……カッコいい!!」

「そうじゃの、なかなかのコンビじゃ。」

「フィアルドマウンテンなんて楽勝じゃないかな!?」

「いやいや、そんなことを言って油断してはいけないよ。何が起こるか分からないのが冒険じゃ。」

そう言いつつ、笑顔をヴォルトに向ける老人。

「ところでおじいさんは僕の心の中を読めるんですか?」

「ん、ああそうじゃよ。だからお前さんの名前も分かったんじゃ。」

なるほど、先の違和感はこれだったのか。
と納得するヴォルト。

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