【BL】君と何処へ行こうか?
君と何処へ行こうか?
笑えるだろう?
男である俺が、男である君に、
こんなにも恋してしまっているなんて。
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初めて出会ったのは、町外れの路地裏。
退屈なこの世に生み出され、何もかもがどうでも良くて、僕は抗うように暴れまわっていた。
喧嘩は好きだ。
何も考えなくて済む。
ただ目の前の相手を倒すことだけを頭に入れればいい。
そうやって毎日喧嘩に明け暮れていた。
大人数相手の喧嘩だって慣れていて、負けることなんてない。
それなのに……
その日は相手が悪かった。
「チッ………手こずらせやがって。」
絡まれたのはこの辺りを統べている澤村一家の連中だった。
澤村一家……つまりヤクザもんだ。
絡んできた奴らは幹部連中では無さそうだが、腐ってもヤクザ……鍛えられた男を大人数相手にするのは分が悪かった。
地面に転がされ、顔を足で踏み潰される。
「俺達のテリトリーで暴れまわってるガキってのは、てめえの事だろ?あ?落とし前着けさせてもらうからなぁ!」
響く怒声。
うるさかった。
「……………さい。」
「あ?」
「……うるさいよ。吠えてないで、さっさと殺せばいい。ヤクザなんだから慣れてるんだろう?」
「こいつ………」
僕を踏みつけていた男が大きく振りかぶる。
拳が振り下ろされる瞬間、
「もういいだろう。」
振り下ろされるはずだった拳を掴む手。
制する声を聞いて、男は僕の上から退き、たじろいだ。
「な、何故ここに?」
「ん?何、散歩がてら噂のネコを見物しようと思ってね。」
僕を押さえつけていた力はなくなったが、自分では身体を動かすことが出来ない。
くそ……。
「君が、噂のネコちゃんかな?」
突如現れた男は僕の身体を抱き起こす。