【BL】君と何処へ行こうか?
いくら僕が細身でも身長180はあるし、年齢も18だ。
起こされて気付いたが男の身長は僕より10㎝ほど小さい。
どこにそんなに力があるのか驚いた。
「うん、なかなかいい目をしてるね。」
「はぁ?アンタ、誰?」
さっきまで僕を取り囲んでいた男たちは、今僕を抱え起こしている男の足元にこぞって跪いている。
「てめえ、何て口の利き方をーー」
「ーーいいんだ。」
今にも殴りかかってきそうな勢いだった男は、あっさりと身を引いた。
「初めまして、暴れネコさん。澤村組若頭、澤村一樹(サワムラ イツキ)だ。よろしくね。」
「………若…頭?アンタもヤクザ?」
「そうだよ。君が暴れまわったここの主だ。」
ニコッと澤村は笑み、僕の身体を支えたまま歩き始める。
「行こう。手当てしてあげる。」
予想外の言葉に僕は彼を見上げた。
「……手当て?どうして?」
「そりゃそんな怪我してたら、手当てするのは当然だろう?」
「……殺すんじゃないの?」
「殺さないよ。無駄な殺生はしない主義なんだ。」
無駄な殺生はしない?
そんなわけない。
コイツらヤクザは……。
「そんな……そんなヤクザなんていない!」
支えられていた腕を振りほどき、顔目掛けて拳を突き出す。
「若頭!」
が、拳はあっさりと流され、僕はまた男の腕の中だ。
「俺を殴りたいならまずは怪我を治すことだ。」
「……やめろ!離せ!ヤクザなんかの恩恵は受けない!」
「あははは、随分嫌われたものだね。ごめんね、少しだけ大人しくしててね。」
ドスっと音がして腹が沈んだ。
僕の意識は、それと同時に遠退いていった。