刹那の笑顔
しばらく呆然と立ちつくす。
「嘘だろ?」
その時、いきなり誰かに名前を呼ばれた。
「泉山君?」
遼誠は慌てて写真を元に戻して振り返る。
そこには坂下刹那がいた。
「あっ、さ、坂下か……!
びっくりした!」
「そんな大きな声出しましたか?
ごめんなさい…。
あの、わたしの生徒手帳を知りませんか?
落としてしまったみたいで…」
遼誠は動揺を悟られないように心を落ち着かせながら答える。
「あぁ、さっき拾ったんだ。
明日渡そうかなと思ってたところ。
本人がいてよかった。
これだろ?」
遼誠は、震えを抑えつつ生徒手帳を渡す。