刹那の笑顔
その頃、屋上
「遼誠、みーつけた!
大丈夫?寒くない?」
遼誠は軽くみのりを見ると悲しそうにニコリと笑って外の景色を眺めていた。
「ねぇ、私はずっと側にいるよ?
あの時、言ったように坂下さんみたいに冷たく突き放したりなんか、しない…
ねぇ、お願い。
もう一度、私を見て」
みのりは寂しそうに言った。
すると、遼誠は空を眺めながら
「俺さ…自分で言うのもなんだけど…
よく告られてた。
何人かとは、付き合ったことはあるけど…いまいちピンとこなかった。
これが…恋なのか?
これが…好き?
恋がなんなのか、ハッキリわかんなかった。
でも、俺がやっとちゃんとした恋に出会えたのは、刹那がいたからなんだ。
刹那がいて、刹那の過去を知って、初めて本当の刹那を知って…
これほど、初めて愛おしく守ってあげたいと思った子は、初めてだった。
やっと、恋っていうものが分かった。
これが、恋なんだって…。