刹那の笑顔

みのりが大慌てでやってきた。


「遼誠!!」


「あ、そうそう!
中美さん!」


「了解…。

ありがとな…」


「ううん。
それより委員長を…取り戻してね?」


切なげに遼誠のことを見ながらお願いする女子2人。


その切なげな言葉が更に遼誠の心に胸騒ぎをかきたてる。


「え…どーゆー「遼誠っ!遼誠っ!」」


聞き返そうとすると、みのりが被せるように話しかけてくる。


「じゃあ、私達はこれで…」


「え、ちょっと待っ「坂下さんがね…





意識不明の重体だってぇ……!!」


「っ!

意識不明…の重体…!?」


重い宣告に驚きを隠せない遼誠。


「どうしよう……。






坂下さんが死んじゃうよぉ…」


そう言いながら遼誠に抱きついてきたみのり。


「何でみのりが一番に刹那が落ちたこと知ってんの?」


遼誠が刹那のことを好きだと分かっているのに、その…刹那が危険な状態なのに…緊張感もなく抱きついてくるみのりに違和感を感じた。


「え?
それはぁ、みのりがぁ…


たまたまぁ、屋上に遊びにいってぇなんとなくぅ…下を覗いたらぁ…坂下さんが…頭から血を流して倒れてたのぉ!!


だからぁ、みのり…。

急いで救急車に電話したのぉ!!!」


この口調はどことなく、刹那に水を被せた時の口調とそっくりだった。


悪巧みをしている時は、いつもこんな口調…なのか…?
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