刹那の笑顔


濁りのない澄んだ瞳には、嘘はついていなかった。


「俺のこと…

なんもわかんない?」


微かな希望は予想通り首を縦に振られて崩れる。


「そっか…」


その時、バタンっと大きな音を立てて病室が開いた。


「刹那!
買ってきたぞ!
欲しいもの!!!」


スーツをしっかりと着こなして、風格の漂いまさに、威厳のある男性が病室の中に入ってくる。
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