刹那の笑顔
遼誠は少し厳しい口調でお父様に問いかける。
初めて聞く刹那の学校内での状況に目を見開くお父様。
「そう…なのか?
聖理奈…、知ってたのか?」
お母様は少し悲しそうな顔をして頷く。
「はい…。
前に遼誠君が家に来てくれた時に少しだけ教えてもらいました。
あなたは、いつも忙しそうだった。
まともに、同じ時間にご飯なんて、ここ数年食べていなかったわね…。
だから、邪魔してはいけないと思って私も刹那も口に出すことができなかったの。
本当は刹那は小さくこう言ってました。
〝また、お父様…いないのね〟
刹那は寂しかったのかもしれない…。
それなのに私は刹那のその言葉に目をつむったの。
ごめんなさい……」
お母様は腰を折って謝った。
お父様は信じられないという顔で、遼誠を見る。