刹那の笑顔












飲酒運転をした車が、父親と母親の乗った車に突っ込んだんです。







即死だったそうです。




2人は結婚記念日で食事に行く途中でした。







楽しそうに『行ってきます』と言った言葉が…








最後の言葉でした。


2人には楽しんでもらうために、俺と兄は2人で家でカップラーメンを食べていました。


お湯を注ぐ時、なぜか寒気がして俺は手を滑らせて火傷しました。


幸いすぐに冷やしたので重体にはいたりませんでした。

確か、当時7歳だったと思います。

だから、俺にはその寒気など何も関係ないと思っていたんです。


でも本当は関係があった…。

その時、俺たちの両親は…







亡くなっていたんです。


俺はずっと真実を受け止められなくて泣いていました。


なんで、一緒に行かなかったんだろう。

なんで、俺達がこんな苦しまなきゃいけないんだろう。


なんで、お母さんとお父さんを失わなきゃいけなかったんだろう。


ずっとそんなことを考えながら朝昼晩泣き続けました。


側で兄がずっと俺のことを抱きしめてくれたのが、何よりの支えでした。









それと、同時に



ーーーーもう、家族は……1人しかいないんだ…




と実感しました。
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