刹那の笑顔
その時、まだ学校には多くの人が残っていたからすぐに刹華は見つけられて、救急車で病院に運ばれたわ。
わたし達はすぐに駆けつけた。
けれど…
運ばれた時には…
刹華の命はこの世には無かった……。
刹華は、1人でこの世を去っていったの。
誰にも助けを求めず…。
誰にも相談せず…。
家族の私達でさえ、いじめのことを打ち明けてくれなかった…。
顔は血だらけで傷が深く刻まれていた。
でも、顔は笑顔だった。
あんなに傷が付いていたのに顔だけは本当に幸せそうに笑っていたわ。
その時は、わたしやお父様まで泣いたのに、
刹那だけは唯一泣かなかったの。
それ以来、刹那は感情を無くしてしまった。
それが、刹那が笑わない、感情が無くなった理由なの……」
遼誠は、思いもよらない残酷な仕打ちを食らった。
その話を聞いて、遼誠はあることを話そうと決めた。
しかし、さっきの話が重すぎてなかなか話せなかった。
重い沈黙が流れる。