刹那の笑顔
遼誠とみのりは映画の後に水族館に向かう。
映画は恋愛ものかと思ったが面白いやつだったので、気まずくならずに済んだ。
「面白かったね!!!」
「この見たやつ、ずっと見たかったやつだから見れて嬉しかったよ。
面白かったな!」
「本当?!
嬉しいな!」
みのりはすごく楽しそうに水槽を見てはしゃいでいるので、変な雰囲気にならず楽しむことができた。
「あ!見て!遼誠!!
これ、すごい顔!!!」
「ふっ!!
やべぇ、超まぬけ顔だな!!」
「あ、こっちの魚、遼誠みたい!」
「え、どれ?」
「コレコレ!!
この黄色いの!!」
「え、俺こんな眠そうな顔してんの?!」
「えー!そっくりでしょ!!」
遼誠は自分が少しだけみのりに惹かれていることを悟った。
他の人から見たらみのりはすごく可愛いのかもしれない。
動作全てが女の子らしい。
それに気配りも良くできる。
水族館にいる他の男達もよくみのりを見ているのが分かる。
視線が痛いほど遼誠に突き刺さる。
肌も刹那並みに白くて綺麗で髪も綺麗にしてある。
刹那に比べて表情はコロコロ変わるし、時々見せる大人な顔はドキッとさせる。
でも、遼誠はみのりの性格を知ってしまっている。
故になぜか好きにはなれずにいた。
やはり、刹那の方がなぜか強く惹かれる。
「ん?
って、何思ってんだ?
俺・・・。
なんで、刹那とみのりを比べてるんだ?
俺は…刹那の事……」
頭をグシャとしていると、ある水槽の前でみのりが手招きした。
「遼誠ー!
こっちに来てくれる?
今日の記念に一緒に写真撮りたいの。
駄目かなぁ?」
「おう。
待ってろ」
遼誠は顔をバシッとたたくとみのりのもとへ行く。