刹那の笑顔
「大切とか、大切じゃないとかじゃない!
人の命がかかってんだ!!
刹那の所の人が倒れたらしいんだ!
だから…!!!」
‘‘刹那’’という言葉を聞いた途端、みのりは一気に顔をしかめる。
「遼誠は、いつも坂下さんの事になると何かと反応するよね?!
いつも、坂下さんばっかり……
なんで!?
私じゃダメなの?!
坂下さんのどこがいいの!?
あんな、無愛想でつまんない人のどこがーー」
パシッ!!
刹那の悪口を言い始めたみのりの頬を遼誠はいつの間にか叩いていた。
みのりは叩かれた頬を抑えてただただ呆然と遼誠を見た。
遼誠も叩いた瞬間、目を見開き手を引っ込める。
「わ、悪りぃ…。
つい、手が出ちまった。
悪気は無いんだ…。
ごめん。
綺麗な白い肌に…ごめん。
でも、今すぐ行かないと、刹那とか刹那じゃないとか関係なく人の命があぶねぇんだ!
分かってくれ!!」