僕らの恋に永遠の名を。
「…」
「?」
智兄は、数秒私を見つめると、ぐい、と腕を引いた。

「へ?」

気づいたら、智兄の上に座ってる状態。
あわあわしていると、こそっと耳打ちされた。

「ユズをからかってやろうぜ」
…、子供だなぁ、智兄。
「う、うん…?」

先輩にあたしたちが付き合ってると思わせたいんだと思う、たぶん。

なんでかはわかんないけど。

そんな私たちを案の定チラチラ見てくる先輩。
先輩も気にしなくたっていいのに…。
「梓、ほら」
「!?」

智兄がいつの間にか私のお昼(購買のパン)を
袋から出していた。 

そして…私の口に突っ込んだ。
ちなみに、メロンパンを。


「っ、へほっ」
口っ…口の中がっ、ぱさぱさっ!
「あ、わり」

悪いと思ってないよね、智兄?!
水を取り出して、飲ませてくれる。
「ぷはっ、もぉっ、なにするの…」

「おもしろいだろ」
ドS…。
プルルルっ、プルルルっ、
「ちっ…」
備え付けの電話がなり、智兄は舌打ちして出た。

もちろん私を床に下ろしてから。
「…もしもし、南です」

「…」
先生からの電話か。
そういえば、智兄も教師なんだよね。

「…わり、俺これから会議だから。柚里、ちゃんと終わらせてから行けよ」
「わかってるよ」
…、え、え、?

「じゃあな、梓」
えっ!?
ひらひら、っと右手を振り、教室を出ていってしまう智兄。
「…っ」

これじゃ、先輩と二人きりじゃん…!

か、帰ろう。
まだ昼休みだから、自分の教室には戻れない。

少し寒いけど、屋上にでもいこうかな。
ささっ…

パイプ椅子から立ち上がり、すぐさま扉の前に。
「っひゃ!?」

「面白いね、お前ー」
ドキドキドキドキドキドキ
ドキドキ…じゃないっ。
どうしたのこの状況?!

背の高い先輩が上から私を囲うように抱き締めている。
「なに帰ろうとしてんのー?」

「そ、ろそろ休み時間終わるので…」
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