僕らの恋に永遠の名を。
「んー、あと15分はあるけど?」
「え、っと、…」
先輩どうしたんだろうっ…。
普段と、性格が違うような。
なんでこんなこと…。
心臓が、おかしくなりそう。
「ねぇ?」
びくっ…
なぜか声が出ず、体だけが反応する。
なんか、耳元で話されているような…。
「南センセとはどーゆー関係なの?」
「…」
そ、そのことですか…。
「ただの…先生と生徒です」
「そうは見えなかったけど」
智兄のばか!
あんなことしなきゃ、こんなことには…。
「そんなことないですよ…」
「んじゃあさ…」
「…っ!」
くるっと体を回転させられて、向き合う体勢に
なる。
「俺ともキスできるの?」
俺とも、ってどーゆーこと?
智兄となんて、してないよね?
「は、離して…ください…ぁ」
壁にぴったりと付いた背中。
これが何を意味するか。
追い詰められた。
「ほ、ほぼ初対面なのに、そ、んなこと…だめです…」
「俺お前のこと去年から知ってるよ?」
「え、…や、そんな…」
「ほら、顔あげて…」
うぅ…っ。先輩…?
ふにょ。
「!?」
「そんなビビらなくてもいいじゃーん」
ほっぺたつねられた…?
目の前には、さっきとは雰囲気が180度変わった先輩がいた。
「こんな純粋な子ひさしぶりー」
けらけらと明るく笑う先輩の前で私は呆然と立ち尽くしていた。
「あ、ごめんごめん。冗談だから。南センセの彼女だからからかっただけ」
「か、彼女じゃ…っ」
「だーいじょぶ、誰にもいわねぇって。
じゃ、教室戻るからさ」
パタン。解き終わったプリントを机に残し、先輩は出ていった。
変な誤解…されちゃった。