僕らの恋に永遠の名を。
~第2章~ 非日常

呪いだろコレ。柚里:side


早く家に帰んねーと。

俺は、ユズこと、二階堂柚里。
杉高の三年だ。

たったいま、俺はある事情で家までダッシュしている。
あと5分あれば、着くだろう。

俺の家はコンビニの2階にあって、母ちゃんはそのコンビニの店長やってる。


「っはぁ…はぁ…」
ガチャガチャっ

家のドアの前に立つなり、俺は鍵を差し込み、中に入った。

『クスクス。そんなに急がなくても』

「…久しぶりなんだよ…はぁ…」
俺にはいつ頃からか、謎の現象が起きるようになっていた。死後の世界にいったやつが、俺の体に入り込んでくるんだ。

最近は全くなくなってたから、忘れてた。

いやいや、中二病?とかいうやつじゃなくてな。
ホントなんだよ。

原因は、とーちゃんにもらった目のせいだと思う。
証拠に、俺の体に幽霊が宿ると、左の瞳だけが青くなる。

俺が小さい頃、目をどーたらこーたら…って母ちゃんに聞いた。

「で、名前はなんだ?」

もちろん、霊なんだから、幽体で姿形はない。
自分の心に聞いてるようなもんだ。

『僕?僕はね、…柊也』

「名字は?」

『忘れたよ』

「まぁ、いいか…。で、なにが目的で降りてきた?」

『ある女の子に会いたいんだ』

「女かよ…」

まぁ、こういうやつは少なくない。

母親より先に死んで、会いたい、なんてやつもいた。

ただ、俺の年齢近いやつしか体には入り込めないらしいく、昔は、小さい子がきたりしたな。

「お前いくつ?」

『今の年齢でいえば、16歳だけど、死んだのは8歳かな』

「おま…、8年も…?」

『まぁね』
「で、その女の子とやらの名前は?」

見つけられない場合もあるけど、その霊自身が住んでいた場所などを覚えていれば、探しだすことは可能だ。

『梓。葉月梓』

「は?」

『え、なに、だめなの?もう、さっき会ったけどね。一目でわかったよ、あずだ、って』

「あの…葉月?」
『そうだよ、そうそういないでしょ、こんな珍しい名前』
「そりゃそうだけどな…」
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