僕らの恋に永遠の名を。
「せせせっ、先輩、なに言ってっ!!?」
「いいじゃねぇか、ほら、いくぞ」
左手を差し出され、思わず右手を重ね…
じゃないっ!
「わわ、私、先にいきます!」
「あ、ちょい待て待て」
…結局、逃亡もできずに(走った瞬間腕を掴まれた)、並んで登校。
さすがに手は、と断った。
なに企んでるんだろう、先輩。
とゆうか、先輩たちは、付き合ってるわけじゃなかったんだ。
愛先輩の、片想い…?
な、なに考えてるの私!
「おい葉月、なんだー、この間は」
「あ」
気づいたら、先輩と私の間が1メートルぐらいあいてる。
「無意識でした」
「…時々、ひどいよな、葉月」
「?」
すれ違う人の視線が痛いけど、先輩の隣を歩く。
なるべく下を向いて。
「なぁ、梓」
「はい?」
………。
「え!?」
今、名前で!?
「付き合ってるのに、名前呼ばないのはなぁ」
「付き合ってないです!」
そうだった、なんで付き合うなんて言ったのか聞かなきゃ!
「先輩、さっきの、なんなんですか?」
「だってよ?」
とんとん、と先輩は人差し指で自分の胸を叩く。
「俺のなかに柊也がいるかぎり、お前とは結構一緒にいることになると思うんだ」
あ…、なるほど。
それで、みんなに色々聞かれないようにってことか。
だったら手っ取り早く、付き合ってるってことにすれば、解決…だろうけど…。
「でも、私なんかと付き合ってるなんて、嘘にしか聞こえないですよ」
「私なんか、とか言うなよ」
「でも…っ」
「梓は十分可愛いぜ?」
…はぇ。
先輩なに言ってるの?
「先輩、そういうのは、私には効きませんよ」
とか、口で言ってて、顔とか熱い…。
目を合わせれなくて、下を向いて歩く。
「ひねくれ者め」
そんな小さな呟きが隣から聞こえた。