僕らの恋に永遠の名を。
少ない時間。
「あずは、誰とケッコンするかな?」
「私?…私は、柊ちゃんがいいなぁ」
すると、柊ちゃんはパンパン、と砂場の山を叩きながら言った。
「僕は、あずのそばにいられない気がするんだ」
「どうして?お引っ越しでもするの?」
「ううん、ちがうよ」
寂しそうな声色でだった。
「…まぁいいよ。帰ろう、暗くなってきたよ」
すっと立ち上がる柊ちゃんに手を引っ張られ、立ち上がる。
チリン。
自転車のベルの音が響く。
そちらに向くと、智くんがいた。
「あ、智徳にい」
「おい、帰るぞ、ちびカップル」
「やめてよ智徳にい」
ちびカップル?
「なにそれ柊ちゃん?」
「あずは気にしなくていーの」
「智徳にい、今度自転車借りていい?」
「なんで?」
「友達ん家行くから」
「お前、梓以外に友達いたのかよ」
智くん、なんだか最近冷たいなぁ。
「いるよ」
ぎゅ、と私の手を握る柊ちゃんの力が強くなる。
どうしたのかな?
「……だ、で」
?聞き取れない。
あれ?景色が歪んで…。
「んん…?」
自分の部屋…?
夢かぁ。
ふぁ、とあくびをしながら時計を見ると、8時半だった。
今のは、…柊ちゃんが事故に会う数日前の事だ。
今更、こんな夢にはっきり出てくるなんて。
あの時は私、泣いてばっかりだったな。
ベッドから下りて、リビングに行く。
「お母さん、まだ帰ってないか…」
と思ったら、台所にコンビニ弁当がひとつ。
その上には紙があって、"温めて食べてね"とあった。
今日は、早かったんだな。
私は、温めたお弁当を持って自分の部屋にいった。