僕らの恋に永遠の名を。
ぞろぞろと列が進み始める。
開園したみたいだ。
『ユズリ、あずとはぐれそう』
『わかってるよ』
「梓、手」
きょとん、とした顔をして、手を差し出す梓が可愛い。
ユズリがその手を握り、歩き出す。
『あずー、なに乗る?』
あずと会話ができるって嬉しいな。
ユズリには他人の会話中聞こえないらしいし。
どうゆうメカニズムなんだろう、この人の体。
「私、コーヒーカップ!」
子供だなぁ、あずったら。
―――「うぇっ…」
コーヒーカップで酔う高校生…。
ユズがふらふらとベンチに座る。
「私、飲み物買ってきます!」
そう言うと駆け出していってしまうあず。
まったく、こーゆうとこは情けないなぁ。
「…遅くね?」
30分近くたち、ユズも回復してきたけど、あずが戻ってこない。
『迷子かなぁ』
「高校生だぞ」
『あずは方向音痴なの』
「ったく…」
ユズは立ち上がると、売店のほうに足を向けた。
と、そのとき。
「ちょい姉ちゃん、俺らに付き合えや」
「あ、あの、私、人待たせてて…」
「あー、俺らがいくらでもおごるよ」
ナンパか、よくやるな、なんて横目で見る。
「梓!?」
先に声を出したのは、ユズだった。
そう、絡まれていたのは缶ジュースを持った梓だった。
「先輩…」