僕らの恋に永遠の名を。
幼なじみ
「はぁ、っ、はぁ…」
学校に到着…したのはいいんだけど、息切れが…。
下駄箱に手をついて、乱れた息を整える。
そういえば…、二階堂先輩、彼女いたんだ。
直接聞いたわけじゃないけど、女の先輩、愛先輩だっけ。
あの人の態度からしてもそうだよね。
別に、私には関係ない世界だけど。
付き合うとか…。
友達さえもいない私が、ありえない。
「おはよ、葉月」
「うひゃぁっ?!」
頭上から声がして、下を向いていた私はびっくりして、すごい声を出してしまった。
「なんだよ、そんなにびっくりしなくてもいいだろ」
「もぉ…、智兄…」
私に声をかけてきたこの人は、南智徳といって
この学校の教師をしてる。
イケメン先生、と話題にもなった。
まだ、24?だったかな。
「お前がそんな走ってくるの初めてみたから
気になったんで」
ひひ、と意地悪そうに笑う。
実は、先生と生徒の前に、私たちは幼なじみという関係でもある。
昔はよく面倒を見てくれて、私も智兄と呼んで
慕っていた。
だけど、今はちょっと意地悪で困る。
「なんにもないよ、別に。走りたかっただけだもん」
「変なヤツ」
「変じゃないもん」
口喧嘩しても勝てないのわかってるから、せめてもの抗議で頬を膨らまして見せる。
「顔が余計丸く見えるぞ」
…ひどい。
「いひゃいよ」
膨らました頬を引っ張られる。
「ちゃんと運動しろよな。すぐバテるんだから」
「う、うるさい…」
「あと、数学もな」
「…」
そう、智兄の担当教科は数学なのだ。
私の一番嫌いな教科。
そのこと知ってるくせに、授業中わざと当てる。
ホントに最近、意地悪。
「じゃあな。またあとで」
「うん」
意地悪だけど、私が学校で親しく話せる貴重な人。
お昼も、一緒に食べたりする。