私はきっと運が悪い。
_ガラッ
教室のドアを勢いよく開ける。
……誰もいないんだけど。
まさか遅すぎて皆もう入学式行っちゃった!?
焦りと不安がよぎるものの、とりあえず私は席に座った。
中学とは違う、新鮮な空気になんだか落ち着かない。
……友達できるかな。
しばらくして何人か生徒が入ってきた。
どうやらまだ入学式は始まってないみたい。
よ、よかったぁ……
少しずつ埋まっていく席にドキドキしながら時計の針を見つめた。
ふと教室を見回すと1つだけ誰もいない空席。
隣の席じゃん。
欠席……かな。
初日から欠席なんて。
私だったら気がひけるなぁ(笑)
そんな呑気なことを考えていると
_ガラッ
ドアが壊れるくらい勢い開いた。
「……やっべ」
ぽそっと小さく呟いた声はドアに近い私の耳に届いた。
どうやらあの席の人みたい。
長身に白い肌。
真っ黒でさらさらな髪。
切れ長の何もかも見透かしていそうなくらい鋭い目。
いわゆるイケメン。
「ねーあの人このクラスだよね!?」
「超イケメンじゃん!!」
イケイケな女子達がコソコソ騒ぎだす。
あーもううるさいなぁ。
だからイケメンが嫌いなの。
頬杖をつきながらボーッとあたしは外を見た。
きれいな青空なのに。
あのイケメンのせいであたしは気が晴れない。
イケメンには……いい思い出なんてないんだ。