0<X≦2人の王子様
「はい」
体育委員である
真行寺蓮が
先生に呼ばれるのを尻目に、

日本史係の私は
我関せずとばかりに
ひたすら
お弁当をかっこんでいた。


「ありゃ??
このクラスは委員1人かぁ??」

あの先生は声がデカいから
教室内までよく響く。


「いや、もう一人の
井上くんが今日は休みで」

あれ、真行寺の声も
よく聞こえるなあ。


「お―そうか…困ったなあ…

実はな、1年D組が
次の時間 体育でだな、

このクラスと同じく
走り高跳びの予定だったから

お前らには
さっきの授業終わりに
片付けさせなかったけどな、

どうもG組がついさっき
インフルエンザで
学級閉鎖になったらしくてな」


「えっ学級閉鎖………」


(学級閉鎖かあ…
ふんふん大変だねえ)

夢中でお弁当に
かじりつく私は、
テキトーに二人の話を
聞き流す。


「だから悪いが、今からすぐ
体育館にむかって
片付けをやってほしいんだよ
頼む!!!」


「まあ別に構いませんけど…
さすがに僕1人では」

すると、話を聞いていた
美佳(=真行寺蓮が大好き)
がすかさず名乗り出る。

「私やります!!!」
おそらく、体育館倉庫で
真行寺蓮と二人きりに
なりたくて言ってるんだろう。

そうとも知らず、
先生は嬉しそうに

「お―そうかそうか、
よかったな真行寺」
とニコニコしている。


と、次の瞬間、
女子たちが一斉に挙手。

「はい!!私もやりたい!!」
「私も!!!」
「私も!!私もやります!!」
「真行寺くん、私と!!!」
「私も手伝いたい!」

ほぼクラス中の女子が
立候補する自体に
ア然とする先生。
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