水がすべてなの
「わあぁぁあ…!」
夕日が沈む頃なので、プールの水が夕日色になっていて綺麗だった。
そして…その中を泳ぐ1人の女の子がいた。
彼女は水しぶきをあげることなくゆっくりと、華麗に泳いでいた。
まるで、水の流れに乗っているみたいだ……
「綺麗……」
僕は彼女の泳ぎを見つめていた。
いくらフリーで指先から入水したとしても水しぶきがあがらない。バタ足で若干するものの、それが逆に静かさを引き立てていた。
僕側の方に来て壁にぶつかる直前に前周りをしてクイックターンをした。そこでも静かだった。いつの間に…!っていうくらい素早い壁キックをしていた。
全然…なんていうか、強引とかそんなものがなく。
優雅で優しい静かな泳ぎで泳いでいた。
「………!?///」
突然、僕に向かって手を振ってきたではないか。
ゴーグルをしているし距離があるから顔はよく分からないものの、整えられた顔立ちはしていた。きっとゴーグルをはずしたら綺麗な顔、しているのだろうな…。
「…………///」
俺は手を振り返した。
「……お前に手を振ったんじゃねーよバーカ」