tiny little bows


ピピピピッ


目覚し時計の音がした。
もう朝か…。
少し眠ろうと思って目をつぶって…、そのまま寝てしまったみたいだった。
ソファで寝たためか体が重い。頭も少し痛い。携帯電話をふいに見ると今日は授業が休みになったというメールが届いていた。予定が無くなって二度寝しようと思ったが白田桜の日記帳が目に入った。

昨日の続きから見てみるか…。

*****

6月○日

誕生日。みんな優しい。このクラスがどんどん好きになっていく!

7月○日

夏だ。あゆはが堀越くんと付き合った。自分のことのようにうれしい!

8月○日

夏休み。江ノ島に行く。
みんなと海に行けるのが楽しい!

*****

なんの変哲もない普通の日記である。
内容的には何も面白くないが、白田桜がつけた日記だと思うと何故か読み進めてしまう。何故だろうか。
不思議に思いつつパラパラと捲っているとひらひらと何かが落ちた。
拾って見てみると手紙だった。
封筒に書いてある宛名は…、

ナツ

だった。
驚き、その衝動で開けてみようと思った。この手紙があったから白田桜の母は僕に渡してきたのだと察した。
しかし、宛名の下に“日記を読んで"と書いてあった。焦れったい気持ちを抑えて日記の方を見た。

*****

8月○日

そろそろみんなに会いたい!遊びたい!
部活も忙しいけどやりがいがある。

9月○日

新学期。

*****

随分、間隔が空いているみたいだった。
しかも文章が雑である。飽きてきたのだと僕は思った。


*****

9月○日

今日は菜美とたくさん話した。泣いて泣いてスッキリした。
私は実感した。ゆうが好き。泣くほど好きなのだ。ゆうには好きな人がいる。ちょっとしたら諦められるかも

*****

驚いた。まさか彼女がゆうのことが好きだとは。僕の部活仲間であり1年次のクラスメートだった。サッカー部である。
背も高く、話しやすく、イケメン。
そういう奴だった。しかしフラレても他校の彼女に首ったけで、ゆうに恋する女子も少なかった。
しかし白田桜は、ゆうがいいと思った。
結局は何も起こってはいないと思うが、ゆうも白田桜のことがお気に入りであったと思う。

*****

9月○日

文化祭!ダンス部の発表頑張る!
みんな見に来てくれるかな?

9月○日

学校にお泊りした!ぶっちゃけ話楽しかったよ!

*****

特に何もない、普通だ。
白田桜は日記を読んでと書いた。
何かがある。
そして気がつき始めた。僕のことがなかなか書いてない。僕というか…具体的な名前がほとんど無くなってきている。

*****

10月○日

告白された。付き合うことになった。初めて直接告白された。嬉しい。

*****

このことはクラスでも大騒ぎになった。
クラスの仲良い友達と白田桜の彼氏を見に行った。彼女の恋事情はみんなが興味があることだった。半年で別れたが、付き合い始めたころの彼女は本当に可愛かった。


そして、その文章の後はかなりの空白が続いた。というより白紙だ。書いてないのだ。
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