俺とアイツといとこ殿！

確かに絶対的なこの手足が縛られている自分の状態とホットワインを飲んでいる優雅な流華との差。

そして着てるもの・・みんなの扱いで立場は軽くは理解してるだろうなあ・・

「まず行っておくがお前が踏み込んだこの土地は私有地である。」

「え？島じゃ？」

「島だがこの島全て私の私有地であるゆえお前は許可なく入ったものである。ゆえにそういった扱いを受けているのだ。密入国すればつかまるであろう？私も客人にはそのようにしないのだがお前は客ではない。」

そうだよな。

とりあえずの常識はそうなんだ。

「貴女日本人？」

「お前は私に対して尋ねる権利はない。聞かれたことに答えよ」

おおっと厳しいな。いや優しい方か。

日本語話してるけど銀の床につきそうなすげえ長い髪・・そんで綺麗な顔・・訪ねたくなるのは当然かな。

「お前は何をしにこの島に来たのだ？寒くないのか？」

気になった２点はそこかよ！

「何をしにきたわけでもないし・・寒いわ・・」

観念したように質問だけに答えている。

「お前はなんなのだ？素性をいいなさい」

「私は・・埼玉に住む日本人で冬休みになったから・・家族と旅行に出かけたのジャワ島に。」

「ジャワ？」

アイツはそう不思議そうに言った。

ジャワ島ってどこにあるんだ？

「ほう。」

「暖かい島なの。」

「そんなことは聞いていないし、知っている。しかし、もう一度同じ過ちをすればまた猿轡をすることになる。気を付けて話せ。」

静かにウンウンとうなづいた。そりゃあ嫌だろうな。

「流華ジャワって・・冬でもTシャツでいる馬鹿ばっかの島なのか？」

ブンブンブンと女の子が首をふるが口は出してこない、そう神咲に例外はなく３度はない。

あるとしたら俺らくらいかな・・なんて生意気にも思ってみるが・・怪しいところ。

「お前が言ってることが本当だとして・・ここは寒いであろ？殆ど日本なのだから。冬だ。・・お前に尋ねる。そのジャワで何をしていたのだ。」

「家族旅行で・・マドゥラ？島とかよくわからないけど・・渡る船に乗ってたの。少し曇っていて私は甲板で海を見ていたの。」

「ほう。そして？」

「なんかにぶつかったみたいに岩礁なんか無いはずのルートだったんだけど船が止まって沈んだわ」

「沈んだとなぜ分かるのだ。」

「不思議だけど見てたの。」

「何をだ？」

みてたって・・何でぶつかって

「少し混乱が起きて水が入ってくるって甲板に人が詰めかけて・・救命ボートがその船にはなくって・・混乱してみんな島も近いし私も含めて海に飛び込んだんだけど・・先に飛び込んだ人が私の両親も含めていきなり出来た渦に飲み込まれていったの。でも船は傾いてゆくし・・」

「お前はどうした？」

「甲板と反対の船尾の方から海に飛び込んだの。」

「スクリューがあって危険だぞ？」

「でも渦は怖かったし・・そんなの知らなかったし。」

「そしたらどうなった？」

「船がゆっくりだけど沈んでいってすぐに無くなったわ。そして飛び込んだはずの人たちもいなくなって立泳ぎしてる私は一人でそれを眺めてたの。助けを呼ぼうと島の方を見て泳いでいたら・・疲れてしまって溺れたの。」

「気がついたらここに？」

「そう最初はおじさんに日本語で話しかけられてマドゥラに着いたのかと一瞬思ったけど何か違う感じだったから・・」

「ああ港で話したというそれか。ハァ・・どうしたものかな。」

ワインを片手に煙草を吸うと灰皿に煙草を置いてルカはため息を着いた。

「流華？聞いてもいい？」

「左翼殿ならいつでもどうぞ？」

はは。余裕だな。