俺とアイツといとこ殿!
「そうだな・・純ちゃんと協力して3時間ほどこの女を見張ることと・・海くさいゆえ入浴に付き添って風呂に入れてくれ。後で少し話があるゆえ。風呂に入れたら香月の間にて待機せよ。尋ねるなどをしてその間に身元を割り出して、具体的にどの付近で事故があったのかを調べて地図を見せて欲しい。言っている事が本当なら中に入ればその風景で島が見えた距離がわかるゆえ殆ど正確な位置がわかると思う。」

「分かったよ。やっておくね。」

海くさい・・確かに着替えたとはいえ磯くさいというか・・こんなのでウロウロされたら嫌だよな。

畳だって汚れるし。疲れただろうけど・・布団に寝かせることも出来ないし。

「ごちそうさまでした。」

「ああ。頂きますは言えなかったのにごちそうさまは言えるんだな。」

嫌なこというなよ。それこそ余裕ができてきたんだろ。島の人間と美人じゃなければ冷たいな・・

でも最低限やっぱしてやるんだなあ・・敵意がなければ。

「でだ・・お前。私はお前に聞きたいことを少し聞いた故お前が私に聞きたいことをあと少しの時間だが、言ってもいい。私に聞かなくても二人が答えれるようなことは聞いても無駄であると思うが。」

流華にしか聞けないこと・・か。

むつかしいな。


「あの私はこの先どうなるのですか・・?えっとお風呂に入るとかじゃなくって・・」

「うむ。まだ分からぬ。この先どうなるのか、お前の行動次第でもあるが・・それはまた3時間後でも言おう。報告もあるしな。」

「わかりました。その・・あと・・この付近はどこにあたるのですか?」

「それは言えない。まず日本の近くだといったがお前が泳いで渡れる距離ではないし、お前のために船はでない。それに日本付近だとは言ったが日本だとは言ってない。日本の法律が通用すると思うな。110番もここではかからない。」

今のこの子の状況が本当だとこれは千本ノックより厳しい言葉だろうな。

「あの逃げたいわけじゃないし、誰かを呼んで助けて欲しいわけじゃなくって・・・その心配なんです。両親がこの付近に私のように流れ着いていないか。」

「それは私も心配である。」

へ?

「そうなの?」アイツもちょっと意外そう。

「侵入者が増えるのは島の人間が忙しくなるし私も忙しくなるし、そんなトラブル面倒だ。それにそういうルートがあるなら考え直さねばならん心配がある。」

そ、、そういう意味か。

「無理・・を承知でお願いしたいのですが・・」

「なんだ?」

「両親が流れ着いていないか調べることがあったら・・生きてるって分かったらそれだけで安心するので・・」

「ふうん。そうゆうもんか・・わかった。」

そうゆう感覚って流華にはないからわからないもんな。

両親がこんな風に軟禁されても同じように海に落ちたのだから心配。ってな。

「確かにルカにしか頼めないことだし聞けないことを言ったよね。」

「ああ。頭はトロくないようだ。私はそこに安心した。」

ひでえ。アイツは若干フォローしたけど流華はうーん悪気はないんだけどな。

立場が違うから・・似たような年頃でも。。

しゃーないんだよ。

「お前はあまり泣かないのだな。」

ぼそっと流華は言う。

確かにアイツに触られてからは食事も言われたようにとってるし泣きながら懇願してくることもない。

「私は確かに・・不条理だと思いました。けどそれは私の勝手です。私の国の感覚です。外国に行ったらそれは通用しないのでマイナスばかり数えるより服を貸してもらったりタオルを貸してもらったり紐を安全かもと思ったら解いてくれたり食事や飲み物をくれたりしているプラスを数えてました。」

少し表情が柔らかくなった女の子はそうルカに言った。

へぇ?

「まあ地味だが良いことだ。」

そうだな・・地味だけど・・いいことだな。ポジティブだ。うん。

「お前の両親のことだが・・」

「はい・・」

「私の推測なんだがな。死んでいると思うぞ。」

「え・・?」

「確かにまだ調べさせてはいない。が・・ジャワから日本付近までどれくらいの距離があると思う?お前は飛行機に乗って行ったであろう?そこから船でマドゥーラに渡った。」

「すごい距離が・・あります。」

「そのすごい距離をお前が泳いできたと思っているなら馬鹿だが、そんな風に不思議にたどり着く輩がそんなにいるとは思えない。」


「でもっ・・死んでいるとは・・」

「だから推測なんだがお前には分からぬ部分での推測もあってな。それはまた後で話す。時間のようだ。身なりをきちんとし、もう一度服を着替え心を落ち着かせて待て。今お前がどうこう考えたところで大した案は浮かばないであろう?何ができるわけでもないであろう?なら待つか寝るか死ぬかしろ。」

おおっと。

「・・・・そう・・ですね・・とりあえず待ってます。」

コンコン。

「はいれ。」

「流華様もうすぐ賢者たちがついてしまいます。どのように?」

側女がルカに尋ねる。

「うーん・・今から行ったら先につかれてしまうな。すまんが燕賢者達には会議の場所を蒼天の間に変えると伝えよ。そしてそこに机と椅子をすぐに揃えるように他の者に言うのだ。行くぞ。蒼天の間なら私のほうが早い。」

「は。かしこまりました。そのように。」

「ではな。女。お前は・・女では呼びにくい・・鞠と言う。顔が丸いしそれでよい。」


「まあお名前を賜られたのですか?」

「そういう意味ではないが・・」

キャピキャピとする側女と話しながら流華はさっさと出ていった。


「さて。僕らは3時間弱以内に言われたことをこなそうか。」

「だな・・。」

「あの・・」
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