俺とアイツといとこ殿!
「いいよ・・。俺は。流華が負ければお前に俺をやるよ。ただ・・」

「ただ・・?」

「俺のいとこ殿に負けた人間を俺は見たことがねえ!!信じるしかねえだろ!!始めちまえ?っ!!」

ワーー

一気に歓声がでかくなる。周りのテンションはMAXだ。火事と喧嘩は江戸の華みたいな?

「よく言った!」「それでこそ男!」

なんだか俺は男ウケばっかだな。やっぱしな。・・これが俺・・。

流華とオトミって子は飲み始めた。流華のピッチは半端ねえ。マジだ・・こいつ。

ガンガンと勝敗を決める為の盃が流華の横に溜まっていく。

きっとわんこそば大会の勢いで測るんだろうな。

「おお。城主様・・すげえな。どこに入っていくんだ?あの体に・・」

だよな?闇の国に貢いでるらしいぜ?

「オトミもやりよる。」「自分で嗾けただけはあるわな?」

ピッチは遅いけど確かに一升瓶を空けちゃう子はすげえな。開始してまもなく・・

流華は3本開けてるけど。急いでないのに・・

「なあ・・オトミといったか。」

続々と追加の酒も運ばれてくる。

流華は俺にお酌されながらオトミに話しかける。

「オトミでなくともよい。物の怪の類やら女子が消えてゆくことについて誰か知っているものはおらぬか?そのためにブラブラ歩いていたのである。」

思うところってドラクエ風に言う居酒屋で情報収集みたいな感じか。

「そのことも文に書いたのですが・・実は私の姉上が・・いなくなりました。」

「どのような状況か言えるか?」おお俺らが知りたかったことビンゴだ。

「それならわっしが。初にお目にかかります。お嬢のとこの番頭のものです。」

ひょろっとした男が出てきた。日本酒最初に持ってきたやつだ。

「うむ。よい話せ。」

「物の怪とは言っても醜い百鬼夜行の分類ですわ。わっしは見たんでさ。」

「大きな吹き出物だらけで太った刀を持った人っちゃ人なんですがね・・」

噂ずきみたいな田舎者の話し方だこれ。ちょっと面白いし。わっして。

「ほう。手があって足があって頭があって胴があるのか。」

お前のひとっちゃ人の判断基準ってそんなもの?

「まあ言っちまえばそんなもんでさ。だが・・皮膚は爛れて醜く大きな泡みたいでした。それに髪がボサボサで異人とは違います。黒でした。ガマガエルみたいな風体と思ってもらえれば・・だけどそれ以外は爪は伸びすぎててクマみたいだし目玉は出目金みたいに出てるわ・・人の形をしてはおりますが・・人とはどうも思えないんでさ。気配ってもんもないしで。」

こわ!!マジ物の怪ジャンルじゃん。

「お前?城主に嘘付くなよ??」「そうだそうだ?」

ギャラリーの男たちがそう言った。

「いや・・嘘なんぞつくかい!俺は見たんだって!これホント!」

「それは男なのか?女なのか?」

「多分一応男でしょうな・・着物が男物でした。」

「ふむ・・」流華は5本目を開けて・・そう言った。

「お嬢がやっきになってんのもそんな物の怪に狙われる位なら好いた男と子供を作ってしまいたいと。」

「善吉!余計な事をゆわんでよろし。」
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