俺とアイツといとこ殿!
「だから色々あったけど今は猫で魚が食いたいんだろ!!」

「はしょりすぎじゃろう・・」

「んで?見えないってのは?」

「飼い主にすら見える時と見えぬ時があるらしく気持ち悪がられてワシは捨てられた・・」

お・・おうダークな話じゃぜ。

まあしっぽも立派にふっさふさだし毛の長い白い猫だし・・目も青だし。シャム猫かな?

俺の知ってる猫の中で一番高級な感じの猫はシャムだ。まあ野良猫じゃねえってのはわかるが・・

「そりゃあお前ずっと飼ってた猫が見えたり見えなかったらびっくりするだろうけど・・足折ったりするか?」

「人間は弱いものには平気で意思をねじ曲げようとするものもいる。
ワシは精霊になったとしても大した力はない・・大した木でもなかったしの。
じゃが精霊になるために何百年もかかった。その儀を邪魔したのも人間。そして猫になった後足を折ったりしたのも・・人間じゃ」

「そんな・・人間ばっかじゃねえよ・・よくわかんねえけどスーパー・・行こうぜ。」

俺は猫を小さなパンを買ったとき貰った入れ物にバスタオルをしいて入れた。

「見えるか見えないかは別としてスーパーに着いたら俺は独り言野郎になりたくねえからお前だけしゃべるんだぜ?」

「むぅ・・わかった。」

傘を持って部屋を出たらもう雨は小ぶりになっていた。

なんだ通り雨だったのか。

もう寒いし暗いこいつをあのままにしなくってなんとなくよかった。

スーパまでの道のりで「お前を邪魔した女ってどんな?」

「とにかく髪が長くて・・」

へ?お・・まさか・・

「鬼のような・・」

俺の知ってる女じゃないよな?
約一名当てはまるけど・・

「よく知らん!!」

あらら・・

「ただ・・カンザキじゃ。」

へ?

「神咲の御名において・・とか言っておった。」

ビンゴジャーーーん・・_| ̄|○

あれ・・?でも流華は問答以外で名乗る事もない。
技において名前の価値なんてないし。

なんっか変だな。

「それってさ・・・目の色わかるか?」

「そこまで見てない一瞬じゃったからの・・なんじゃお前知り合いでもいるのかの。」

ビクっと俺はした。

えーと・・超心当たりはあるけど・・

「こいつかもなあ・・って言うのはあるんだけど・・」

「それはお前を捨てた主人とやらか?」

スーパーについた。

「とりあえず飯のあと!!話そうぜ。そいつとなら連絡ならとれるからよ・・一応。」

「わかった・・」

猫は魚売り場の魚を買い占めるように指図した。俺んち小さい冷蔵庫しかねえんだけど?

俺は取りあえずカゴに入るだけ入れた。

スーパーを出て・・

歩く・・重い・・・ネコと荷物・・。

「お前一個持てよ・・精霊なりぞこないだろ?なんか力とかねえの?」

「わしは足が折れとるんじゃー持てるわけなかろうがそれにワシが持てたとして浮いてるように見えるんじゃぞ?」

ううう・・嫌だ。

「もうわかったよ・・」

「してお前なんという名なのじゃ・・?」

う!言いにくい!

「・・純一だよ」

「そうか。ワシは玉光尊動天蒼神という」

「なげーーわ。タマでいい?」

「うむ・・・」

しょうがないといった感じで了承した。

猫なんだからタマでいいじゃんか。

「して純一?その心当たりの女というのはどこにいるのじゃ?」

「会ったらお前は戻るのか?」

「精霊の儀は普通は邪魔など出来んからの。そんなことをできるなら戻すことも出来るかもしれんじゃろ?
一生猫より良いわ。
それにこの猫も猫としての一生があるんじゃ。ワシの御霊といっしょにこの小さき体に居るのは可哀想じゃ」

言われてみればそうなんだけどよ・・・。

それに邪魔できるくらいの力なら流華はあると思うけど・・自然とやらを重んじる流華がそんなことするとは思えない。

「やっぱ・・似てるだけで違うと思うぜ。俺の知ってる女はそうゆうことするのをすっげえ嫌うんだよ。」

「捨てられても庇うのかの?」

ふーんって顔すんなー!!

捨てられて・・ねえよ。

マンションについて俺は重い荷物と猫と明日食うんだろう魚を冷蔵庫に入れて

布団しかない部屋で猫が魚を食うのを手伝ってやった。

「なんにもない部屋じゃの。わしの飼い主はもっと色々・・」

「俺・・捨てられてねえし。俺は信じきれなかったんだ。色々あってすげえ奴が現れて俺はずっと捨てられるんじゃないかって思ってた・・多分。
だから捨てられる前に捨ててしまったんだと思う。」

「なんじゃそれは?人間はよくわからんのう・・純一が悪い男じゃないことはわかるが・・」

「飼い主・・でいいや俺の飼い主は俺を最後まで俺を信じてくれてたよ・・俺が・・」

食べ終わった顔を自分できれいにして猫は俺の横にきて寝転がった。

「自分を責めてばかりいてはダメじゃぞ・・その時その時の感情はあるんじゃから・・」

俺は使ってない毛布をかけてやった。下にタオルも引いた。包帯を巻いた足が血でにじんでて俺はそんな人間もいるんだなと思った。

「寒いだろ?俺お前くせえから・・一緒には寝たくねえけど良かったらこれ使えよ・・」

「臭いというなら洗え!!」
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