俺とアイツといとこ殿!
タマは文句を言いながらにゃはーって顔で毛布に丸くなって入っていって顔だけ出した。

「それとこれは別。怪我してるのに風呂なんて入れたら酷くなる。気になるんだったら明日洗い流さなくていいシャンプー買ってきてやるから。」

「お前・・優しいのう。猫が好きなのか?」

「好きじゃ・・ねえなあ・・」

「変な奴じゃのぅ・・」

「俺は甘いんだろうさ。」

寝返りをうって俺は目をつむった。

「純一・・寝るな!」

へ?急にタマがマジな声で俺を前足でバンバンする。痛くはねえけど・・

「何でだよ。どした?まだ腹・・」

「忌まわしき気がこちらに近づいておる。」

そんなの俺わかんねえけど?

それよりねみいよ

「・・なんだよそれ?」

「お前に近づいて来ておる。ワシを置いてここを離れるのじゃ」

ちょと待て。借りにも俺の家だぞ。

猫に占領されるわけにはいかねえぞ。

「つかさ。お前足折れてるじゃん。猫に占拠されるのは1000歩譲っていいとしてもよ・・」

「ワシはこんな家占拠したいわけではないわ?感じぬのか・・ではわしを持って騙されたと思って裏口から出るんじゃ危ないのじゃ!!」

うっせえな。もう!

「わかったよ・・裏口はねえけどベランダならいいかな。」

「ココは高いんじゃろ?人間は壊れるぞ?」

タマを毛布ごと抱いてベランダに走って飛び降りた。

「おい?純一?わしまで殺す気かぁぁぁ」

「ちょっと黙ってな。」

移動術式でここに飛び降りて・・同じ高さ位のちょっと離れたマンションの非常階段まで移動した。

ここなら俺の部屋が見える。

「ハァ・・死ぬかとおもったわ・・お前なんじゃ・・人間ではないのか?」

「なんにも起きないじゃん。タマ。」

「よおく見ておれ・・・」


俺はマンションの俺の部屋の当たりをようくみていた。猫が言うとおり。

「へ?」

俺の部屋が・・・火柱を吹いている。

目をゴシゴシしてみた。

「見間違いではないのじゃ・・ゆったじゃろうが」

「そだな。ゆったけど・・お前なんで分かったんだ?」

「精霊になりそこねたとはいえ邪気を纏うモノは分かるのじゃ。」

えっへんってするけど・・俺の・・俺のお布団やら俺の部屋・・・。

財布はポケットに入ってるから良かった・・。邪気・・・?

「来るぞ。さっきので出来るだけ安全な所へ離れるんじゃ?」

安全なとこって・・・俺は移動術には限りがある。追跡されたなら・・・いつか捕まるかも。

迎え撃つにも俺には見えないやつだ。アイツの二の舞は嫌だし・・

とりあえず移動するけどしたとこしたとこ火柱吹いてるんだけど!!

ああもう!!俺が安全だろうとこって・・

≪と・・島主!!≫

いとこ殿のところくらいだ・・情けないけど。

≪どうした・・久しいな。≫

流華の声がする。ぽわわんとしている場合でもなさそうだ。

島主は島民をいつでも助ける必然ってのを俺は知ってる。

≪お耳に入れたいことが一つと・・≫

≪では伝えよ。≫

≪もう一つが伝えれる状況じゃないってのが一つです!!ってか流華助けて?俺攻撃されて・・≫

≪・・・どこにいる?札はもう持ってないのか・・攻撃・・瞬ちゃん!・・純ちゃんの・・≫

≪わかるよ。≫

相談してる?

純ちゃんってアイツにはいうんだ・・。

ってかもう持たないぞ。最後に札もらっときゃよかったぜ。

「なにをしてるのじゃ?近づいてきておる!もっと早く飛ばんかぁ!!」

≪誰といるのだ?とにかくそちらに行く。攻撃されて追いつかれそうなら見渡しのよい広場の方へ全速力で動け。あとは私に任せればよい。≫

≪は。≫
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