俺とアイツといとこ殿!
アイツがぼそっと言った。

お前がやられたときの比じゃねえよ!200何人ぶっとばしたんだからな!

「なんなんじゃ?あの鬼のような女を凌駕するあの女は・・」

「タマ・・・あのクソつええ女が俺のご主人様だ・・・」

「へえ!!この猫しゃべれるの?可愛い!!」

・・・可愛いってお前猫好きだったんだ?

抜くのを諦めてサングラスの男が額をヒクヒクさせながらこっちにマッハで走ってきた。

これで俺追いつかれてたのか・・・。

「お前ぇぇミカリンをぉぉ」

爆炎の炎が俺たちを包みルカにも直撃するがルカは自己ガード俺らはアイツのガードで暑くもなんともない。

「お前も毛頭許す気などない。女の分まで細切れにしてやろう」

俺のいとこ殿はやっぱし男には容赦ないんだな。

「ぬかせっ」

シャキンシャキンと体術と武術?だろうか・・なんであんな音がするのか分からないけど

見るからに押されてるけどよく流華と戦っていると思う。

「なんだかんだ言って力はそんなでもないんじゃなーい?」

「うむ。出し惜しみというやつだ。雑魚にはこれくらいでよい・・」

そういや流華から気が少なく感じる。

回し蹴りをモロにくらったサングラスの奴も吹っ飛ばされた途中で方向を変えてこっちに鉛筆みたいに向かってきた。

「こっちがお留守よん。」

「そっちはお留守にしてない。」

ルカの声が小さく聞こえたけどアイツのガードで俺らはなんにもなかった。ガードが強くなってる。

「僕はこっちが専門だから。w無理だよあっちにいってらっしゃい」

アイツはニコッて笑って言う。

「お前のその卑劣な精神・・・・あの女を甚振れば変わるかの。」

流華は指でくいっとあげて貼り付けにしていた女の杭を抜いた。

もう一回くいっと人差し指をこっちにやるとギャーーー言いながらミカリン?がこっちに来るってか流華のほうに引き寄せられてくる。

そして・・俺にはゆっくりと見えたんだけど・・

肩を流華は手で何も無かったかのように貫いて女の腹を膝で蹴り上げた。

「ミカリンッ」男はそれをキャッチしに空にジャンプした。
落ちるはずの場所にミカリンは落ちない。

流華が指をくいくいと動かして違う場所に何度も何度も叩きつけている。

すげえ・・・悪意しか感じない!!

「てめえぇぇえ」

「弱いものから狙うのが定石であろ?ほら。踊ればよい。

お前も捕まえてやれば女も地面に綺麗な顔を付けずにすむのにの。」

はは・・できなくしてるやないですか・・。

「純一・・・お前の主人は悪魔か?」

わかるぜ。これだけ見たら弱いものいじめだ。

「に・・似たようなもんだ。」

ゴツン

アイツに殴られた。

そうだって言ってねえのに!!

「おい・・・ミカリンが死んじゃうだろ・・やめろよ」

マジな声でルカに話しかけるサングラスの男。変な格好しやがって。マジシャンかよ?

つま先で立ってたしバレリーナかもしれん。オカマっぽいし。

「へえ・・私の従兄弟は追い詰めるくせに追い詰められるとお前も困るんだな。ならお前も混ざるか?」

「何言って・・へ?」

サングラスの男は手をミカリンを貫いた流華の手みたいになった。

流華の左腕がグーパーしてる。右手はバンバンうちつけてる女に使ってるようだ。

ここまで極めたのか・・・・。

そしてそのミカリンをサングラスの男の方へぶっ飛ばした・・・・これって。

「カク・・・」「ミカ・・・リン・・」

カクというんだな。カクの手で腹を貫かれたミカリンはカクの手の中で死んだ・・と思う。

自分で殺さないってのはここでこのようにも使えるのか。

きっと流華には殺したのはカクだという答えしかないんだ。

「お前がしっかりしていればな。自ら殺さずにすんだものを。私を語るその女もな。馬鹿な女だ」

ゆっくりとサングラスを取り涙をぬぐったカクはミカリンをゆっくり地面に置いて

「お前だけは許さねえぇぇぇ絶対ぶっ殺す!!」

「私はお前も許していないと」ひょいとよけた。

「言ったであろう。」

ひょい。流華は軽やかによけ続ける。

そして網があるポールの上に立った。

「島民一人にここまでするんですか?島主さまぁ??」

あのカミソリの火みたいなのが来た。流華はまともに食らったが・・両手でパンという音がした。

何事もなく技がかき消された。これって・・・絶対量の差ってやつで消されるやつだ。

桁がまた上がってるんだ。きっと。

「当たり前である。それに私は不誠実な女でな。島民くらいにしか誠実にできぬゆえ・・破」

カクってやつに瞬殺っていうんだろうか・・

足になんかが飛んでいったけど足が吹っ飛んでカクはもう動けなくなった。

「ちょろちょろもう出来ぬな。トカゲならまた生えてくるのに・・」

「純一・・もうやめさせるのじゃ・・勝負はついておるのじゃ・・」

「ネコさん?神咲は10倍返しがモットーでね?ネコさんはともかくコイツがやられた10倍したら勝手にやめるよ。
怒ってるんだよ・・僕らじゃ止められない。ネコさんはちょっと黙っててね?」

なんでお前が猫なで声でタマがしゃがれ声なんだ・・・

「タマ・・・俺はそんなこと・・言えねえよ。」

「お前が呼んだんじゃろ?・・聞いてくれるはずじゃ・・このようなことをお前の主人に重ねさせたいのかの?」

タマは静かにそう言った。

そうだ。俺が呼んだんだ・・

俺がピンチだって・・呼んだ。

俺が立てるなら・・この始末は俺がつける。

「タマ・・そうだ・・俺の不始末で俺のいとこ殿はご立腹なんだ。
元はといえば俺が強ければこんなこと・・させなくてよかった。行ってくる。なあこれ解いて?」

アイツは俺だけ背中をぽんと叩いて送り出してくれた。

まだ剣がこの手に呼べるなら・・

剣が手に出た。

ゆっくりと俺はルカとカクという奴の方に歩いていく。

「俺の始末をさせてくれよ。」

流華と膝まづくカクとの間に入った俺は剣を迷いなく振りかざしカクをまっぷたつにした。

赤い炎・・・俺もカクも包まれる。

「純ちゃん。離れろ。」

ルカの声がするけど・・あれ?純ちゃんって・・でも吸い取られていくようなこの中で俺は・・

消えてしまいそうだ・・。

「ごめ・・無理・・」

ひょいと上着をつかまれてアイツのガードの中に投げられた。


「いってぇ・・・」

見上げると流華が炎に代わりに包まれた。

「お前のご主人は・・身代わりになったのじゃぞ。あの赤い炎はの・・。」

「流華の色だ。」

流華はなんともないように払って男だけが消えた。そして女も炎が飛び火したとき消えた。

ミカリンだっけ?

試合終了のゴングがなったみたいにまた雨がいきなり降ってきた。

流華は帰ってきた。

「大丈夫か?すまぬ。少し強く投げ過ぎたかもしれぬ」

と謝ってきた。

ぷぷ

「あははははは」「ふははは」

俺とアイツは笑うしかなかった。

なんであんなに非道な事をするのに俺を投げただけでそんなにシュンとするんだ?

笑うしかねえ。

「??雨だ。とりあえずネコ殿も来たまえ。宜しいか?聞きたいことがある。」

「よいのじゃ。純一がいれば行く。」
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