俺とアイツといとこ殿!
え?オレ?

流華は丸い円を書いてクタクタになったアイツと俺とタマを円の中に放り込んだ。

うわーー俺の意見はねええ・・・

俺らはマンションの一室に出た。後からゆっくり流華は入ってきて円は閉じた。

新しいマンション。家具。引っ越したのか、また。

ダンゴムシみたいにくちゃくちゃになった俺らの中で俺を持ち上げソファに座らせた。


そして少しのぞき込んでしゃがみ俺に視線を合わせて

「よく耐えてくれた。無事でよかった。遅くなって悪かった。」


星の数いる女の中でどうして 俺はこんな凶暴な女が好きなんだろう。

張り詰めていた死ぬかもしれない恐怖とか緊張感はこの人が来てから一切感じなかった。

寂しかった。俺はお前がいなくて生活にかすりもしないあの時間が怖かった。

俺のダムは簡単に決壊して子供より大きな声で泣いた。

しがみついて噛み締めるように薔薇の匂いの中で俺は泣いたんだ。


「これこれ。そんなに怖かったのか?」

ふふと流華が俺の肩に顎を乗せて笑った。

「違っ・・・」

ふわりと離れていく流華は

「まあ水でも飲め。落ち着けい。」

と・・

飲みかけだったんだろう酒をくれた。

・・・・・。

賢人と一緒じゃんか。

ふふ。馬鹿だなあ流華。

それは透明だけど酒なの。

俺はしっかり飲んだけど。

タマが俺のヒザ下によろよろときた。

俺はだっこしてやった。

こいつ足折れてるんだっけ。

「タマ・・・ありがとよ。お前が言ってくれなきゃ俺知らずに死んでたぜ。」

「猫殿が教えてくれたのか?」

「ああ。邪気がどうのって。離れろって言ってくれたんだぜ。」

俺は得意げに話した。あれ??猫殿?なんでネコ殿?

「猫殿私の従兄弟が世話になった。魚でも食うか?」

お前のもてなし方それ?

「お前さんはなんなのじゃ。ワシを誰じゃと・・」

「精霊では?」

知ってたの?

「分かっておったのか?あの来た瞬間にか?」

タマも驚いている。

「精霊には同じ匂いがするゆえ。だが名前が分からぬし御霊が猫に入っているようであるから失礼ながら猫殿と呼ばせていただいた。」

流華はへりくだるわけでもなく冷蔵庫からマグロ?を出して切ってやったやつを皿に乗せて俺に渡した。

食べさせろと。言うことだな。

タマはがっついている。さっき食っただろ?でも数倍いいやつだそれ。

「お主あの邪気はどこに隠したのじゃ?」

「隠してはいない。ただ・・もうこの世界に存在すると不自然を引き起こしかねない大きさゆえ闇の国に置いてある。
少し使う分だけ引き出して使っているのだ」

貯金みたいな?

「闇の国のものか・・やはりな・・その髪その目・・」

「まあな?」

また目が赤くなっている。もう茶色には戻らないみたいだ。でも赤はうちのテーマカラー出し誰も文句を言わないだろう。

流華とタマは少しにんまりした。

おいおい・・猫が話せることにちょっとびっくりしようぜ?

「猫殿・・聞きたいことがある。」

「わしもじゃ。そしてワシはタマじゃ。」

タマ・・案外気に入ってたのか。

「タマ殿・・お主は何故猫なのだ?」

「それはさきほどお主が消した女が儀を邪魔したので・・」

「合点がいった。」

もうわかったのか。

「全然似てないよね??」

あいつが口を挟む。あの女がルカを名乗ったのが不服らしい。まあ俺だって似てるとは思ってねえよ。

「いや・・目撃証言というのは大きな特徴が際立っていればそこしか逆に見ないのであの程度で良い。背の高さ髪の長さ等な」

「確かに・・それに名乗ったみたいだぜ。神咲って。御名において・・って言ったらしいけどよ」

「細かいことなど他人は気にしない。あの風体でどれだけ悪事を重ねられたのか・・分からぬが」

「なぜあんなに惨たらしい殺し方をしたんじゃ・・?」

タマは玉がすわってんな。

「タマ殿・・私は少し異常に腹がたったのだ。純ちゃんが前に出なければもっと酷い事をしていたと思う。」

あれ以上かよ・・・・。

「腹が立っていた。それだけなのじゃな?なんと・・・」

そう・・きっとそれだけ・・

「あとは・・剣で赤い炎が出なければ牽制にもなった。いや回収は出来たので結果はいいのだが
どちらに転んでもそれはそれで良い。暫くは減るかもしれぬ。
タマ殿。私はもうこの次元に居場所がないほどに狙われている。この二人も。意地を張らずに戻すべきであった。」

意地?
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