俺とアイツといとこ殿!
お前がそんな親切女じゃないことくらいって・・純ちゃんってずっと言っているけど・・・

「俺・・右翼なのか?」

「お前はずっと右翼である。実は島のものも書類だけ書いてもらっただけでな。」

「ずるいぜーー俺を騙してたのか?」

「私を愚弄したのでトントンである。」流華はニヤリと笑った。

う・・怒ってるし。やっぱ傷ついたのな・・。

「ごめん。俺・・捨てられる前に自分から捨てられに行った。傷つけられる前に傷つけた。」


「捨てる筈などない。右翼お前が迷わぬように私は一層道を明るく照らそう。
それによって見えるものがどんなに醜くても付いてこれるであろう。」


「なんとも・・いえぬのぅ」

「瞬ちゃんタマ殿の猫年齢はどのくらいだ?」

猫年齢??

「なんじゃそれは?」

「その器である。私もこれでも人間の器なのだ。人間は80?100年ちょっとしか持たない。こちらの猫の器は確か10年位であろうか。」

「そうじゃったのか?」
「知らねえよ?俺猫のこと詳しくないもん。」

俺の腕でブルブルしてるタマはちょっと可愛い。

「うーんとタマちゃんは2才位だね?」

なんでおまえそんなのわかるんだよ!肉球をみたりいろいろしてたけど。

「では長くてあと8年かもう少し位かの。」

「ワシは何百年も生きてきたというのに・・そんな少ししか生きれぬのか・・・」

タマはガックリと病気の猫みたいにいや怪我してるけど・・ぐったりした。

流華はしっかりした声で言った。

「タマ殿・・その少しの間で何が出来るのか我々は考え生きているのだ。私も16だがあと15年生きれるとは限らぬ。
真実にたどり着くまでにこの体が持つのかすらわかりらぬ。」

「お主はそれでも目的をどうして達成しようとするのじゃ・・」

タマは元気なく聞いた。

「私には重責がある。島という中に子供らが沢山おる。干渉されて生きにくいのだ。
その長たるもの未来を作る事しかないのだ。私で無理であれば次が産まれ、同じ記憶を持ってこの血の道を歩ませることになる。
無理であれば引き継がなくてはいけない。けれどこんな道誰にも本当は歩かせたくないのだ。」

「主だけがそれを背負うのか?辛くはないのか?島というのは・・協力せぬのか?」

「いいえ。皆それぞれやることがあって自分たちのすべきことをして私を支えてくれている。私が背負うのは修羅の道。
ですが辛くはない。次の世代が笑って過ごせるならこの命など惜しくは無い。」


何言ってんだよ・・・お前・・。そんなこと言うなよ。

「俺もぉぉ居るぞ!流華!ひとりじゃないぞ。」

「純ちゃん何を泣いているのだ。選抜の時から変わらんの。ふふ辛くはないと言っておるのに。」

「こんなに柔らかい顔もするのじゃな。ワシは純一にしか力は貸さぬがいいんじゃな?」

「ええ。それだけに生きてくださればこっちが回収したキオクの中でタマ殿に関するモノは渡しましょう。」

ああ。仲介ってそういうことか。

流華がつまり大体回収して振り分けるんだから俺がタマとは直接契約してねえのか。

なるほど。

「俺!!やっと契約ちょっとわかったかも!!」

「ふぁっふぁっふぁちょっと・・か。」

「それで良い。」

流華も少し笑った。

どうせマンションは吹っ飛んでるし俺は同じ間取りで違う位置にあるちょっと都内から外れたタワーマンションで生活することになった。

俺とアイツといとこ殿+タマ共同生活の始まりがなんだかワクワクした。


「流華・・アイツら殺しちゃってよかったの?素性は?」

「あ奴らはミドルネームで呼び合っていた。組織的なモノがすることだ。力の相性のよい二人を組ませる。また来るもっと上の奴らがな。」

まじかよ!!

「ミドルネームってニックネーム?」

「まあ自分の名前とは違う名前を持っていて役割もはっきりしていたようだしまず間違いないであろ。」

「僕流華の姿を役員は見間違って会社に通さないように言おうか?」

お。アイツは葵の件から完全に立ち直ってる。

「いや・・ややこしいであろう。私は会社から引く。」

!!!

「会社?なんじゃ?」

「タマにはわからんかもな?」

「なにを?」バリバリバリ・・

引っ掻くなよ・・

「本当に?」

「私が電話すらしないなら社員は迷わない。気を遣わずにブロックできる。
業績の事は大木に任せれば問題無い。大木が迷ったとき私は話をするそんな程度でよいであろ?伝令せよ。社員の命まで守れぬ。」

おお。相変わらずスパーンとしてるな。

「伝令したよ。賢人のOK取った。」

電話がかかってくる。俺やアイツの携帯同時にだ。

「大木さん・・・だ」「僕の方も・・」

・・・。

「繋げ。」

ピ。

スピーカーホンにすると馬鹿でかい声で「純くん?総帥はいらっしゃるか?」

「ここにおる。五月蝿いの。聞こえておる。」

流華がうんざりした声で話した。

「は。失礼を。ええとですね。総帥が降りられるという件の真偽を聞かせていただきたく・・」

「総帥はお前がなるのだ。」

「ハ?」

「聞こえぬのか。私は今会社に迷惑がかかるかも知れぬ事件に巻き込まれようとしている。
少なからず私の存在を会社では知っておるものもいる。しかも上層部だ。頭が取られては会社が傾く。私は関与せずとももう回るであろ?」

「しかし・・総帥がいるのと居ないのでは外交も・・落ち・・」

「大木よ。私はお前ならそれを落とさぬと推薦しているのだが。私の信頼まで落としたいか?」

そんなふうに言われたら・・

「いいえ・・滅相もない・・推薦して頂き有難く思っている次第ではありますが・・」

「不安か?」

「正直そのような器では・・神咲グループは総帥の頭脳と華と信頼があってこそ今に至るわけで・・」

そうなんだろうなあ・・

「華以外はお前があるであろ?」

おいおい。

「総帥!!私は総帥の下で支える方が性に・・」

「分かっては・・おるのだ。だが全グループの社員を巻き込むような騒動を私が起こすわけにはいかぬ。
株が下がるくらいなんなのだ。業績や信頼が多少揺らいでも良い。若い芽を育ててゆけ。
左翼が特別補佐に付く。大事な決断で迷うとき私に連絡をお前だけがしてくればよい。会長などは会社内で恙無く決めるようにな。」

「流華・・・僕??」

俺のターンが回ってくるとは・・って顔をしてる鳩豆状態だ。

「この際しのごの言っておられぬ。決断遅れで全員道連れで首にしたいのか大木!!!」

ビリリリリってこれ・・くるの。痛いような声。

「わ・・・分かりました。責任を持ってその任就かせていただきます。」


「怖いのう・・・」タマ・・お前は自由だな。さすが猫だぜ。

「も・・もう切っていい?」「ああ。」

「何かあったら相談させていただ・・」

あ?あ。

「これでいいの?流華。」
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