俺とアイツといとこ殿!
「手っ取り早く強くなるにはどうすりゃいいんだ?キャパを上げたほうがいいんだよな?」

「自分で考えろ?」あいつが俺をバシンと叩くけど・・

「瞬ちゃんはもう答えを出したぞ。この一ヶ月で。純ちゃんにはもう言ったはずだが。」

え?アイツは・・答えを自力で・・?出したのか。

この自信アリな表情にはそれがあるのか。

「まだ芽が出た程度だけど糸口は掴んだよ。僕はもっと強くなれる。」

へえ?

「考えるより慣れればよい。沢山見て体感すれば純ちゃんはモノにしてきたろう?タマ殿との縁も己が作ったものだ。
私は指示したわけじゃない。お前を守ったのは弱さではなくその優しさというものだ。皆自分の答えや道がある。」


「そうじゃ?ワシは純一だから契約したのじゃ?」

タマは俺をまたひっかく。

忘れてたわけじゃねえってば。

いてえし。俺ら治せないんだぜ。

「ありがとよタマ。」

でもそうだよな。

流華なら利害が一致しなきゃ骨が折れてるとか寒いとか捨てられてるなんてものにセンチに付き合わない。

タマとの出会いは俺が俺なりに行動した結果良い風に結びついたんだ。

俺は俺でいいのに なんでこんなにぐるぐる回ってたんだろ。

俺は俺でしかないのになんで俺は・・

涙が溢れて止まらない。

タマに落ちた涙はタマが毛づくろいして舐めてくれる。

ひっかいた指も舐めてくれる。きっと臭いけど。嬉しいや。

「タマ・・俺ら親友だな!」

「は??お主どう考えたらそうなるのじゃ?」

「ふはは。面白いであろ?」

「まあ・・憎めぬ小僧じゃ。」

タマは尻尾をフリフリとする。

「僕はなんで動物に好かれないんだろう・・・アイツより好きなのに・・」

ポソっと言ったアイツには・・

「その代わり人間の女には好かれるではないか。それぞれである。」

と流華がフォロー?したのだった。

「確かにコイツは野郎か・・野獣か変なのばっかだよね。やっぱこっちでいいや。」

タマがムっとしてたけど。

精霊になるはずだったんだもんな?お前。

それから俺はタマの世話らしい世話はしてないんだけど・・

だってトイレも便座でするし自分でフロに入ってドライヤーするし飯も流華が刺身を切ったら

自分で食うし流華より自分のこと出来るから猫を飼っているって気にはなれない。

なにより要望はしゃべるし?

俺とアイツといとこ殿+タマはいっしょのベッドでやっと寝れたんだった。

少しタオルを買い足したりトリミング用のハサミやらはアイツが買ってきてせっせと流華をセットするように

ちゃっちゃと嬉しそうにするし。

俺は流華にアレルギーが出ないように毎日入念に毛とか掃除するだけ。

ある日の午後、高校も辞めたと爆弾発言したマイいとこ殿はマジ本気なんだなと思いつつ

「流華の契約したのってなにが見えたんだ?俺は龍だったんだけど。」

「ああ。聞かぬほうがいい」

流華は古語の本を読むのをちょっとだけ止めてそう言った。

「僕もびっくりしたよ・・聞かないほうがいいと思う・・」

頭の中の具現化だろ?わかんねえ・・その時流華の頭にあったものってなんだ?

「わかんねえ!!俺だけハミはいやだ?教えて教えて?」

古語の本を取り上げて流華にそう言った。

「むう。私は・・先代全員と契約したのだ。」

へ?

「欲張りでしょ?」

「全員具現化?したらどうなんだ?」

「必要なときにそれらが得意な先代の具現化したものに聞いたり問うたりする。」

おお!!欲張りだ!!!

一匹じゃねえのな。スケールが昔から違ったのか。

「そ・・そうか・・・」

本を返した俺。

夢がねえな。と思ったけど・・そんなの流華にはねえのか。

カッコイイもの習うべきもの。聞きたいことは先代達・・。流華にとっては自然なこと。

そりゃそうか・・。アイツは昔純血になりたかったみたいだからガックリするだろうな。

俺は・・関係ねえ。

今日はタマの魚ブリにしてやろう。
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