俺とアイツといとこ殿!

黒の世界へようこそ

流華が特定の服やら思い入れのあるものなんかを持っていない理由が俺には最近身にしみてわかる。

俺のビンテージジーンズ・・・ヴィヴィアンのライター・・・全て吹き飛んだ・・

金で買えないモノだってあるんだぜ!!

一年で何回引っ越せばいいんだ・・

「はぁ・・」

「ため息ついてる暇があったらタマちゃんとご飯買ってきてよ」

俺はタマと最近ずっとセットだ。

まあ別にアイツとずっと一緒ってよりよっぽどいいしどっちかが自由でどっちかが守れるのはいいことだ。

守りに強いあいつが流華といる方がいいに決まっている。

それに俺は葵みたいに守りも責めもできねえし頭だって良くはねえ。

悪くもねえと思ってるんだけどな〜
俺ってば自分では閃きはイケてると!

「なーにをにやにやしとるんじゃー」

歩けるようになったタマは俺の足元を歩いている。尻尾がなんと立派なことだ・・。

アイツの手入れの賜物?

うまいこと言ったカモ。

「タマ〜尻尾立派だなぁ。」

「瞬一がブローしてくれるからの〜」

ブローなんて言葉・・流華でも知らんぞ。・・精霊フィーバーのくせに覚えたのか・・

機嫌がいいみたいだしま。いっか。

「のう〜純一〜?」

「ん?なんだ?」

「お主ら何故何度も何度も攻撃されるのだ?ワシが来てからも頻繁ではないか。」

タマは歩きながら言った。

未だに猫がしゃべるのに慣れない俺。

「うーん・・そゆムズイことは俺はわかんねえ。けど俺は兵器だと思う。」

「兵器?とは国の大きな武器の事か〜?あの女子か?」

「んー・・・俺らはそう思ってないぜ。
けどま流華が守りたい俺らの一族も流華をそう思ってると。ほかの奴らもそう思ってると。だから取り合うのかなあ・・なんて簡単な図式位しか俺には訳わかんねえ世界なんだよな。」

「うむ・・・兵器のぅ・・・恋心を取り合うとか言いようがあるじゃろうに・・・」

「恋心はマジ爆発しねえし!!何世代も引きづるほどの大恋愛にはみえねえもん。」

「まあそうだの〜。あの女子はどれだけ縛られてもなぜ前を向いているのじゃろう・・」

「ついたぜ。乗れよ。」

タマは俺にジャンプしてしがみついた。

絶妙なバランスで肩の辺りに一人で乗っかっているのがコイツのいい所で。

俺は買い物リストの中身と欲しいお菓子を買ってレジを済ませ10分位でスーパーを出た。

タマはまた下に降りて歩いている。何故俺の前を歩くんだお前は!!

そりゃどっちも主人でも飼い主でもないけどよ!俺迷子みたいじゃんか。


「のう純一〜」

「なんだタマ〜」

あったかくなってきたな・・もう桜が咲くんじゃないか。

「今は夏か?初春がいいところだと思うんじゃが・・」

「お前ボケたのか?2歳だろ?2才って子供なのか大人なのか・・・うーん・・・」

「そうじゃないんじゃって。雪洞が見えるか?」

「なんだよ桜の祭でも見えるじゃんよ・・って夏か春かの問題じゃねえ!まず今は昼だろ。なんでぼんぼりが・・付いてんだよこっから先は夜で・・」

「じゃろ?だからこれ以上歩くとろくなことにならなそうじゃから・・あの女子を呼んだほうが良いのじゃないのかの〜」

タマは俺にジャンプしてくっついた。これが俺らの合体系!

猫が肩に乗ってるだけだけど・・。

≪流華!!≫

≪なんだよ〜買い物は?≫

≪いや・・てめえは呼んでねえよ・・流華は?≫

≪なんだ?≫

≪おかしいんだ。こっから夜でそっから昼ってことあるのか?≫

≪確かにおかしいんじゃない・・頭が・・≫

≪うむ・・純ちゃんは今どこにいる昼か夜か?≫

おお。流華は真面目で助かった。

≪「ワシ!ワシ!今日はトロにしてくれ!!」うるせえ!!それどころじゃ・・≫

≪夜は広がってくる感じがするか?≫

神妙な声でルカが尋ねる。

あれ?なんMか先だったはずで俺は止まってたのに目の前まで夜が来た。

規則正しく雪洞が流れるように風も吹いてないのに揺れている波みたいに正確に乱れなく・・

≪広がってくる!!≫

≪そこから離れよ。それに飲み込まれず戻ってくるのだ。一点に集まらないといけない≫

俺はタマが振り落とされないようにいざというときチェーンをタマの首輪に付けて手にぐるぐるして飛んだ・・

「純一〜ワシ死ぬのは嫌じゃ〜はよ逃げてくれ〜」

俺も一生懸命全力で!!逃げてんだけどな〜

「俺も嫌だよ〜あんな不思議パラダイスに入りたくねえ。俺は平凡な男なんだ〜」

「お主が平凡ならワシはただのネコじゃ〜」

必死だなおい精霊がどうの!

ハァハァ・・

いきなり移動術とか

ないよなー

くそう夜がそこまで!

俺はマンションに帰らねばならんのだ〜

ああつかれる〜

でも夜に追いつかれる前に合流しないと・・・

よし・・ついた。

エレベーター・・・待ってる暇ねえ!!

「もう壁登るしかねえな!」

「待て壁じゃぞ・・」

「流華なら登れる!!じゃあ俺も登れるだろ!待ってたら50階のエレベーターはすぐには来てくれないんだよぉぉ!!!俺も登りてえわけじゃねえっ登山家でもそういう趣味でもねえし〜」

俺は絶壁のマンションを移動術だけで上まで駆け抜けた。

そして休む暇もなく家についたのだった。アイツが丁寧にドアを開けてくれてたもんで。

「はぁ・・・はぁ・・・・ついた・・・?タマ・・死んでねえか?」

「ゼェゼェ・・・辛うじての・・・・」

「早く!!きて!!」

ルカが詠唱をしているすごーくめづらしい。

「流華?・・これなんなんだ?」

「邪魔すると・・飲み込まれちゃうよ?」

俺はお口にチャックをした。

でも俺らの周りだけ夜になってやっぱりナニカが起きたんだって思った。

ルカが唱える空気の周りだけ俺らのリビングの板は変わらないけど・・

周りの風景は昔の夏祭りみたいに雪洞の中に揺れる蝋燭と雪洞自体が揺れる催眠術みたいなのにかかりそうになる。

流華は目をつむっている。そうか・・目を瞑れば見えないもんな・・・

って余計怖いわ!!

どうせ俺怖いなら見てたい。

周りだけ土 神社の石畳みたいなものに繋がってる・・なんなんだ。

夜の奥から風鈴の音がする。

景色がすっかり変わっていきなり春の夜桜が咲いたり俺はもう・・酔いそうだ。

「うっぷ。」

「だいじょぶかの〜」

「タマこれなんなんだ?」

「ワシにはさっぱりわからんの〜」

「だよな。。」

「僕にもさっぱりだけど・・」

聞いてねえなお前には。

「だけどって?」

「流華が幻だといってた。」

「アヤカシって妖怪のことか?」

「ううん。夢と現と次元の間にある空間だって。」

「なんだそれ?」
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