俺とアイツといとこ殿!
「あの時流華が純血になるのを反対したって話をしてくれたり、流華の力が枯れたら外国の別荘に逃げろとか言ってくれた人がいた。」

「へえ・・・賢者様でもそんな方がいるんだ・・」

「どの賢者だったっけ・・」「なんでもいいから思い出せ!!」

「だから大きな声だすなって・・テレパスで弾痕の儀で残っていた俺と酒を飲んでた賢者の人ってテレパスすればいいじゃんか・・」

「・・そうだね・・ごめん。ちょっとカリカリしてた。こうゆうときこそ冷静にならなきゃいけないね。なにか今あったらすごく困るもの」

「だな・・敵を倒せても・・俺らじゃ抑えられなかったらそれこそ寿命問題だぜ・・」

「お爺様の護符どれ位持ってる?」「前使えなかったやつ以外は持ってるけど・・」

「もしかしたら全部使えないかもしれないね。・・・可能性の話だけど」

嫌な可能性だな・・俺の寿命に関わるぜ。

「最悪の場合純血に助けてもらおう。」

へ?

「流華に?」

「違うよ・・流華の護符・・夢の純血なら抑えられるかもしれない。僕とお前のあわせれば取りあえず何回かは飛べるよね?」

そういうことか・・

「でもさ〜あれってな〜・・一緒のとこ行くのにさ一緒に破らなきゃダメなんだぜ?」

「そうなの?」

「うん。俺流華と端っこずつ破ったもん。」「3人で行くのは難しいね・・」

「それに暴走した流華と一緒に破れるか??」「・・・・わかんない。」

「お前に分かんなかったら俺もわかんないぜ・・」

「流華にぶつけたら多分流華だけ飛ぶだろうけど・・・どうなるかわかんないし・・」

「僕が切羽を使うよ。」「効くのか?」「わからない。」

「だよな・・」「僕らが端を持って切羽で縛った流華を抱きかかえて破ってみよう。」

「次元超えれなかったら死ぬんだぞ?器ごと・・」

俺らは5分くらい前からアイツの部屋に移動していた。もう流華に心配かけたくない。

「僕はね・・・」神妙な顔でアイツ話始めた。

「なんだよ・・」

「器なんかなくなってもいいんじゃないかなって思ってる。」

「流華が悲しむぞ?」

「だから内緒だよ。でもあの黒い女の人に殺されても僕らは器を失ってた。これからどの次元で戦うのか攻撃されるのかわからない。危険度は変わらないと思わない?」

「そりゃそうだけどよ・・自分のせいで俺らが死んだらアイツ一生悔やむぜ。」

「そうかもしれないけど現実問題いつ僕らは死ぬかもしれないじゃないか。流華がいなかったらもう何回死んでるかわからない。」

アイツはアイツなりにわかってるんだな・・。

「そうだな・・」

黒のとこではすげえそうだ。息さえ出来なかったわけだから。

「じゃあさ流華だけでも助けてもらえたら僕はいいよ。そっちを取る。」

本気・・なんだな・・。

「賢者のおっさんは俺が呼んどくよ。面識あるからさ。」

「ああ。頼むよ。」

アイツはシッシと手を動かした。

うう。こいつってば可愛くねえ。可愛く感じたら終わりだけど!

俺は部屋を出てタマのとこに行った。

リビングのソファでだらんとしている。

こうやってみると猫でしかない。

「タマー・・」「なんじゃー」やっぱ猫じゃねえな。

「あのさー俺って考えるの苦手なんだけどさ」「そのようじゃな〜」

う!

「でもさー考えなきゃいけないとこに来てるみたいなんだよな〜」

「考えるのは瞬一に任せればいいのじゃないのかの〜」

「へ?」

「純一は考えるの苦手なんじゃろ〜考えるのが苦手なやつが考えても大した考えなどうかばんのじゃ〜」

「でもよ〜考えないと誰かが傷つくと思ったらよ・・」

「純一は知らぬが流華殿はもう引き返せぬ所にきておるのじゃろ。ワシでもわかる。」

「ああ。流華はもう何処にも帰れないぜ・・俺も・・だけど。比じゃないな」

「今純一が出来ることはなんじゃ?苦手なことを考えて逃げることなのかの〜ワシと会った時のように」

「・・・・なんだろうな・・」

「ワシは流華殿の身内以外は残虐にしてもよいという考え自体は好かん。それは精霊としての考えに反しておるからの〜」

「流華を馬鹿にすんなよっ」

「馬鹿にはしておらんのじゃ〜あれはあれで精一杯やっておるとはワシも思うのじゃが所属が同じでも立場が違うのじゃ〜精霊は悪も善も見守るもの根底はそこにあるのでな好かんものは好かん。」

「そりゃ・・天使が悪魔を嫌いって感じ?」

俺はそういうことがいまいちわからない。

「ま〜純一にはそういう風に言えばわかりやすいかの。何故あんなに人ならぬものまで惹きつけるのかは分からぬが・・まるで魔そのものじゃ。」

「俺のいとこだっての〜。ところで魔って悪い意味か?」

「いやちょっと違うの〜魔には魔の正義があるのじゃ〜流華殿が言うような芯があるので一概に光が正しいとも限らぬ。光には光のやり方考え方があるようにのぅ。」

確かに葵が正しいとは思わない。俺は役に立たないから殺すって考え方は嫌いだ。

流華の考え方が好きとか嫌いって訳じゃないけどやらなきゃいけない立場ってのがあるってことか。

ただそれが本当に一番の選択かってのは流華自身がいつも自分に問いかけてるだろうしもう子供の頃にきっと決めただろうと思う。


「流華殿の言う修羅の道に本当に純一は着いてゆくのか?」

「・・・ついて行くよ。俺はどこにも居場所がないって。ここしか。お前と一緒さ。」

「じゃあ純一もワシを助けないのか〜」

「俺は流華じゃなくて俺だからな。多分助ける。でも悪いけど優先順位は流華が一番だ。それが俺の役割だし悪魔だろうが天使だろうが惚れてんだ。しょうがねえ。」

「厄介な女子に惚れたのう・・・」「全くだぜ。ライバルが腐るほどいるしな。」

「いやいや・・そういうことじゃなくてじゃな・・・まあ良いわ〜」

「なあタマー」「なんじゃ〜」

俺はタマを抱き上げて視線を合わせて言った。

「俺ってば何しても中途半端なんだよ〜」「そうかのう〜おろすのじゃ〜」

はいはいっと下ろす。

「そうじゃないって思うわけ〜?」

「ああワシをすぐに助けたしの〜猫の言うことを聞いてベランダから飛び降りたのじゃ〜」

確かにまあそうだけど・・。

「そんなの・・」

「その心がいつか伝わればいいのじゃないのかの〜純一の想いが流華殿を苦しませなければ良いのじゃないかとワシは思うんじゃが・・変かの〜やり方はどうであれ邪魔になることをするよりは相手にとって喜ぶような事を積み重ねていけば繋がりは切れないのじゃ」

おお!精霊っぽいことを言うなあ・・。

「いや!変じゃねえよ。俺とアイツの考え方も流華も違うけど俺はそゆ優しい気持ちが流華が取り戻してくれたらいいと思う。」

「ん?元からあのような女子じゃなかったのか?流華殿は。」

「島が・・俺らが・・・そうさせたんだよ。流華にも感情も怖いものも沢山あったけど消す練習をしなきゃ強くなれなかったみたいなんだ。」

「心を殺してまで守るための強さを選択して今も戦っておるのかの。・・そこまでゆくと大したものじゃな。逃げ出すことも出来るじゃろうにあのような強さで頭も良いのじゃから・・」

「だから全部背負わされても背負ってやるんだよ流華ってやつはさ。出来るからやるべきことをするんだって。俺には正直分からないし・・15になって一緒に生活するまではそんな大変な世界で生きてるって知らなかったんだけどよ。」

「それまで一人だったのかの。精神力だけは精霊にも負けんのう・・フォフォフォ」

「笑い事じゃねって〜たしかにあの精神力はすげえけど、皆に冷たい分俺らのことは身を呈してでも守ろうとする。俺らは血を糧にしてるっていったろ?それがきっと全部なくなったとしてもやるんだアイツって。」

「それは心配じゃの。」

その時だった・・ドアが・・流華の寝室のドアが開いた。ゆっくりと空いたドアからはもう赤い目をした流華はいなかった。

爪も元に戻っていた。髪はキラキラしてるままだけど・・

まだ一日もたってねえぞ?

「純ちゃん・・ドイツにゆくぞ。瞬ちゃんを呼んで来て。」

流華はいつものように無表情に言った。

俺は色々聞きたいことがあったけど・・・俺はタマに猫用リュックを背負わしたりアイツを呼びに行ったりしてたら聞きそびれた。

「流華〜もう大丈夫なの〜?」

「ああ。心配をかけてすまない。大丈夫。」

前より空気がひんやりしたような流華の雰囲気がちょっと違う。

「島に行くエッケハルディンはそのあとで行くが地図を出してくれるか。場所が分からない。」

「わかった。」

アイツはパソコンから地図をさがすわけでもなくテレパスで大体の住所と地図を頭にいれたようだ。

俺らの世界ではハッキングを徹底的に防ぐことがなぜか義務付けられてる。

例えばパソコンで地図検索した跡?があったらまずいらしい。

流華はすぐに円を描いて島の本家に繋いだ。

賢人がキャリーをもって用意していたところだった。

「賢者殿。」「ああ島主様今しがた出発するところでして・・」「それはもういい。」

「さようで。かしこまりました。」

「ここが島というところか?不思議な気が満ちておる。」

タマがそういうってことはそうなんだろう。

「不思議なのか?俺らの育ったというかまあホントの家なんだけど・・」

「この全域の精霊がいぬのに流華殿に共鳴しているように見られているように感じる。不思議じゃ」

「タマ殿。此処ではあまり話さないようにしてもらえるか。島の者には全員がタマ殿の声も姿も見えるのでな。」

流華がそう言った。

「わかったのじゃ。ネコが喋ると色々ややこしいもんじゃのう〜せめて子供がよかったのう・・」

そういったあとタマは猫らしくなった。

というか喋らなくなった。

流華が指でピューと鳴らす音を立てるとバサシが走ってくる音がする。

アイツも自分の馬を呼んでいる。

あ。俺いねえ・・・orz 

≪ジュンイチはピューってしないのか?≫

そうだった俺タマとはテレパス出来るんだった。

≪俺の馬は死んだばっかなの〜移動術でいくぞ。≫

バサシが現れた。アレ?タテガミ?ってやつかシッポとか銀色になってる体は白いのに・・

「なあ流華・・」

あ・・・行っちゃった。さらりとバサシに乗って・・蔵の方に・・

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