俺とアイツといとこ殿!

俺たちのいる意味

俺は軽く降りはらった

「ちょ、やめろよ」

「ん?」

「手―」

意識しすぎているのか。

小さい頃から俺たちはこーゆうふうに繋いでたんだけれど

ルカの恥ずかしげのなさに逆に恥ずかしくなったんだ。

「ああ嫌なのか。すまん」

「いや。嫌ってわけじゃ・・」

焦っちまう。なんでそんなに真っ直ぐみるんだ・・。俺は目を伏せる。

「流華僕はいいけど??やな奴だねえ。つなごうねー」

アイツがしゃしゃりでてくる。

「嫌ならしょうがない。年頃というやつではないのか」

流華はそういってアイツと手をつないでいる

やっぱりなんだかムカムカして自分から手を差し出してルカと繋ぐ。

そのナニカを紛らわせるために少し引っ張り気味にして二人の前を歩く。

顔が赤いの。悟られたくないな。

「結局つなぐんじゃん。」

ボソっと聞こえるかどうかの声でアイツが言った。

友達といるのもこっちでいるのも居心地がいい。高校生活は悪くない。

俺らは従兄弟で血が繋がってるんだ。やっぱり昔から知った仲ってのはいいよな。

それだけじゃないけど。

スーパーで買い物を済ませルカが住むタワーマンションへと入っていく。

ここつい最近できたばっかのとこだなこのマンションは・・・。でけえすげえ

俺の家も結構いいマンションだと思ってたが格がチゲえ・・。

都心にある日本で3・4番目に高いという中途半端なタワマ。

ロビーは綺麗で花がどーん!!ってなってる。

うっとりとエレベータを待つあいだ百合の花にそっと触れ

香りを嗅いだりする流華はもっと綺麗だと思った。

エレベータで流華がカクっと俺にもたれかかる。

「悪い・・血が足りないみたいだ。最近忙しかったから・・」

「袋貸して。鍵どこ?」

「カードキーはポケットに・・・」

いきなりマジな顔になるアイツは俺の分の袋とキーを持ってドアを開けに行った。

目で語る俺ら。走り去る際にうんとうなずく。

きっと今頃寝床の用意等をしてるだろう。

ということは流華が倒れても俺は抱っこして持って来いって意味で。

こういう時は共同戦線が敷かれる。

俺は結局ルカが意識を失ったのでだっこして運んでいる。

ルカくらい軽いのなんのって。ちゃんと育ってるか??

まあいいや。

俺たちはこういう時のために今ここにいると言っても過言ではないのだから。

高校の入学も偶然じゃない。

結構頭が(勉強的に)悪い?流華の学力にあわせてこの高校になった。

ことを聞いた俺の両親は・・俺に勉強しろ!といきなり言い出した。

俺はもっと頭が悪いので勉強しまくってやっと入った。

中2まで入れる高校は日本にない。と断言されたくらいだ。

ただ勉強してなかったってのもあるけど。

瞬一・・アイツは逆に入る高校のレベルをガクンと下げたことになる。

おかげで遊び歩いててもバンドやってても常にトップでいられるわけだ。

最上階のエレベータから部屋までは結構歩く。角部屋だからだ。

ルカは少し顔色が青ざめている。俺はお姫さま抱っこをしてできるだけ揺らさないよう

急いで部屋へ向かった。

部屋につくとアイツは「なにやってんの。遅いよ。さっさと寝かせてあげて。」

「わーってるよ」

リビングを抜けて足でドアを開け奥の寝室へそっと寝かせる。

クローゼットをあけてびっしりと並んだ様々な柄の浴衣やパジャマから適当に選ぶ・・・

まではよかったものの・・

制服のボタンを外して・・外して・・?いると白い肌が露になってきて

つい生唾をゴクリと飲んでしまう。

(今は非常事態で・・その・・ごめん)

スカートのチャックをずらし出来るだけ見ないように着替えさせていたのだが

キャミソールドレスのようなものでブラとかパンツはみえないものの

その露出度にどぎまぎしてしまう。

少し膨らんできた胸のライン・・細い腰・・白くてしっとりした滑らかな肌。

どうしても目が離れなくなって浴衣を落とす。

「なにやってんの。バカ。欲情してる場合か。」

後ろからまたもやアイツは忍び寄って痛いところをつくわけだ。

手際よく流華に浴衣を上から着せて電気を消し休ませる。

二人が出ていこうとした時に

「ク・・ソゲー・・」と聞こえた

「はいはい。また明日ね。」

「う・・ん」

アイツはそう言ってルカの布団を直して扉をしめた。

「やるよ・・」
「わかってる。」

俺たちはこうゆう時のために存在する。

らしい。

自分の意義だとか人生ってやつを考えるには最初から俺もアイツもルカだって

決まりすぎてたんだ。

俺とあいつはある意味自分で決めたっていっても過言じゃないけど。

かくいう俺たちはフツウの人間と言われる感じの人間じゃない

ルカは特にそうだ。

俺らは一族ぐるみで血をエネルギーの源として生きている。

殆どみんなそうだといえばそうなのだが栄養素だとかカロリーだとか

例えば考えることひとつとってもエネルギー源である血を使うのだ。

普通はどうなんだろアミノ酸とか?

ほとんど同じなのだが心臓のようなものというか核とよばれるものが特別な働きをして

人間と似たような構造になっているけど?

血を消耗して生きていると言うと栄養素は血なんだよな。

俺もよく自分の体のことだがわからないことばっかりで

でもあんま風邪とか引かないタイプだからわかんねえ。

血を使って生きる。決まっている。それ。

使わない方法もあるらしいのだがルカは特に許されていない。

それはなぜだか俺にはわからない。

もしそうゆう方法があればいいのに。

ただ俺たちとルカはほかの人たちと違う人間で、ルカは俺たちとも違う人間だってことだ。

魔法と呼ぶにはチンケだが似たようなものを今現在している。

アイツと俺はリビングに半分づつ正確に二十四節気魔方陣っつうやつを改したもの?

をチョークで書いた。

ルカが教えてくれたアレンジのオリジナルの術式なんだけど・・

アイツはそう言ってた。

まず二十四節気ってナニって俺は思う。

この術式でやりたいことはアイツと俺の意識とか波長を合わせ全同じにしなければいけないし

今日の作業でいうと二人が必要なのだ。

勿論ひとりでできることもいっぱいあるけど!

その真ん中にテーブルと椅子を置きオレらは腰をかけた。

緊迫した中にも純粋な心でこの作業はしなければ『純赤石』と呼ばれるものは作れない。

いつもあとで考えるとどうしようもなくキモい作業なんだが

俺らは両方の掌をくっつくかくっつかない程度近づけ集中する。

己の中にある気高き血に命令する。我が敬愛るべき仲間の為に形を成すことを。

俺は心の中で決めゼリフ的なものを吐く。多分アイツも吐いていると思う。


子供のころにこの呪文は自分から何をもって自分に命令するのか

と自分の視覚に想像できる形で尋ねてくる。

俺は龍が見えたが違ういとこは怪獣だったらしい。因みにアイツは人魚だとさ。

ルカはなんだろう。聞いたことねえな。

これが多分大人達のいう『契約』とかいわゆる『呪文』で

俺らの言葉でいうと『祈り』

世代で言葉が大分ちげーし・・。

なんにせよやれることは結構あるけど実生活ではほっとんど役に立たない。

楽するために基本なんかを使ってみたいが・・

歯磨きをしなくていいとかパンツを覗けるとか

お金儲けできるとか・・うーん・・何も楽になりそうにないな

今なにしてるかってーとオレらは血の「結晶」みたいなものを作ってるだけだ。

島のものからすると高等技術らしいが、疲れるもののアイツも俺も結構早く覚えた。

テーブルを挟んで前にいるアイツはすでに汗だくになっている。

手と手の間がじんわり暖かくなってきたら少し光るような粒がどちらからでもなく

ポトン・・ポトンと半透明の粒が汗と血の結晶が・・溢れてゆく。

ある意味俺は青春してるな。

下においてある皿に5粒ほど落ちた。所でアイツの体力切れ。

これを作ることで俺らの血も減るわけだからそこそこに考えて作らなければいけないんだよ。

だから二人で作れば消費が半分。

三人で作れば3分の1で作れるんでできればみんなで作ったほうがいい。

でもその分意識を一緒にするってのが困難になるわけで高等技術にはいるわけだ。

「ハァ・・ハァ・・もういいだろ。」
「まあ。そうだな。」

大分マシになったんだがアイツは元々病弱だった。

昔から頭は良かったけど病気がちで鍛錬には来てたがよく倒れたりしてた。

結局血を削ってなにかをする俺らじゃスタミナは命でもある。

元々俺はスタミナだけはあったからそこのとこで苦労したことはないんだけど。

それにこの粒。賞味期限じゃないけど新鮮な方が効くらしい。

だから保存できないのがえげつないところだ。

俺らは島の中では右翼と左翼という役所(やくどころ)にまあ特殊部長みたいな感じ。

俺は右翼・アイツは左翼と呼ばれている。ルカは純血。名前はない。

ルカもそうだ。

名前で呼ばれることはないんだ。

寂しいよな。

ルカは当主とか場合によっては総括とか社長とか島主とか唯一とかって呼ばれてる。

よくわかんねえけどなんにしても「トップ」ってことだ。

鬼才というか稀に見る兼ね揃え方なので毎日が火車に追い回されてるように忙しいらしいが

それははたから見るとの話で本人は学校に結構来てるし効率よく仕事をしているみたいだ。

それだけでもすげえなって俺は思うけど、疲れないのかな。

絶対唯一のモノで「ある」だけで名前はいらないのだ。

それは俺らも同じ。

俺たちは島から離れて暮らす今でさえ掟に従って生きている。

俺はそれが正直うざってえ。

朝どっちの方向をむいてお祈り。とかはないんだけどさ。

まあでも俺が自らなると言ったから俺は右翼になってからは俺の掟に変わった。

右翼と左翼がいない島主は早く死ぬという。

大事なものが欠けていて唯一であるためだけに生きている島主は

郷土宗教の中では神に値すると言っていいかもしれない。

「何ボーっとしてんの。飲ませに行くよ。」

「わーってるよ。」

再び寝室を開けたとき青白い顔でベッドの背もたれに真っ直ぐと座っているルカがいた。

「ありがとう。すまん」

「いいから早く飲めって。」

「・・水類もだせ。」

流華が不機嫌そうに言う。

そりゃそうだ。結構でかいもん。つばで飲むには一苦労だ。

「ああ・・ごめん僕とってくるよ。」

次にぼーっとしてたのはアイツだた。

寝汗を書いて体が不調そうなルカ・・に見とれてた?のか?

≪ド変態だな・・。≫

≪五月蝿い。≫

こうやって俺らは誰にも聞かれずにテレパスすることも近距離なら可能だ。

ルカなんて近距離じゃなくても可能だ。

ただし自らシャットアウトしてるときや誰かに妨害されてる時は別物だけど。

こうゆうときルカは割り込んでこない。テレパスはお互いの気を(俺らは色というんだけど)

理解して伝える。話してる間はテレパスをしているという色が視えたりする。


俺ははっきり言ってルカが好きだ。すごく大事だ。

・・けど学校の中で付き合いたいとか言ってる奴らの「スキ」とか・・

俺の両親みたいに「愛してる」とか・・どういう意味の好きなのかとかは

今のとこわからない。

だから敬愛する仲間という風に答えた。それは本心だ。

死線を一緒にくぐり抜け生き残った仲間と同時に俺はルカを尊敬してる。

人一倍辛い状況でも泣いたりしないが俺やアイツのことでたまに泣いたりする。

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