俺とアイツといとこ殿!
流華は島民を指でシャボンを引き寄せ自分の後ろに誘導してくっつけて巨大シャボンになった。

「はい・・大丈夫で御座います・・ココは・・?どこで?」

賢者の一人がそう言った。

「ここは幻の世界。お前たちには幻視の世といえばわかるであろ?」

わかんねえよ。

「噂にしか聞いたことがありませぬが・・」

しってんのかよ。

「私の力はあすこではもう都市ごと壊してしまう。あの世界にヒビを入れてしまうゆえここへ来た。」

歪ってやつね・・不自然を引き起こしかねないって位なのか・・

「流華はもう・・そんなに・・なんだね・・」

アイツは少し寂しそうに言った。

「みたいだな。」

「その方は大賢者殿ではないようですが・・封流であり・・弟君の夜一(よいち)殿で?」

「殿はいらぬ。所詮・・封流・・」

「姉さま・・所詮とは聞捨てなりませんねえ・・」

夜一・・そうだ。・・どっかで聞いたことがあるって思ってたけど・・

爺様の葬式以来合ってない。

「あの時・・この夜・・いえ・・この封流を決めて島から追放したのは島主でございました。今・・その理由を聞いても宜しいか・・?」

賢人の一人がルカに問う。

「それどころでは・・ないのだが・・まあよい。簡潔に言う。」

「は。」

「先代の祖父が亡くなったのは病死ではない。このモノが殺したゆえ。封流とした。」

「!!!」

え??

「なんと!!何故そのような大事を報告されなかったのですか。」

「隠そうとは思っておらぬ。時期が来たら言うつもりであった。ただ祖父の死は事実。」

「まあ・・そうだな。」

俺は皆にギロっと睨まれた。

やべ?

「死を尊び、感謝を込めて祈る事と憎しみが混ざり合っては先代・祖父が悲しむ。」

「死を混乱の中、受け止め、感謝と祈りだけで送り出すことが島主として初めてした事である。」

「そうでございましたか・・・ご立派で御座います。」

「そうそう。ご立派。姉さまはいつだって立派で・・お顔も魂までも美しい選ばれしお人・・僕は・・」

「お前を 許してなど おらぬ。」

大きな声でビリビリってくる声で言った。

流華は・・爺様を殺されたの・・見てたのかな・・?

「私は死ぬ直前に居合わせただけである。血まみれで笑うこのモノと倒れる爺様を見た。」

「僕が姉さまの弟ってだけで懐に入れたのはラッキーだったな♪」

「理由は・・?」

賢者も島民も皆がその理由を知りたがっている・・。

「姉さまを独り占めしたからだよ?」

・・マジか?こいつ・・。

「僕はどんだけ話しかけても目も合わせて頂けなかったのに・・ジジイとはよく話して時折笑っておられた。こんなに愛しているのに!!!」

シュンっとノロとは比べ物にならないくらい早いスピードで

カミソリみたいな奴がガードを突き破って流華の腕の方に飛んできて

一瞬光っただけにしか見えなかったけど・・多分そうだ。

ポタ・・ポタ・・と落ちる流華の血・・。と腕・・ルカの腕が落ちた・!!!

「流華!!」

二人でシャボンから出ようとこんがらがった。

「お前どけよ」

「お前こそ!!」

皆は何秒か・・沈黙が続いたらポワポワンとしたハートマーク・・・と・・

金色に光る次元をこじ開けるような音と天使のような悪魔が登場した。

役者が揃ったのか・・・と思った。

葵を呼んだのか・・。

黒の髪でここ 

金の髪で 葵

「流華ちゃん・・その腕・・」

葵が青ざめて流華に走りよってきた。

自分の上着を破って服で一生懸命覆っている。

葵が女のような顔から男の顔に変わった。

憎しみだけが支配する色だ。

孔雀みたいな色に黒いギラギラしたものがかかって見える。

「どれだけ愛しても・・愛されぬなら・・見てもらえぬなら・・全て・・姉様までも殺して差し上げます」

賢者の口で夜一は言った。頭おかしいんじゃねえの?

義兄弟とはいえ・・姉ちゃんだろ?

「何言ってんだよ・・!!てめえ・・」

俺だってルカの出血で頭が沸騰しそうなほど怒ってる。クソクソクソ!

「姉さまが悪いのです。誰よりも秀で誰よりも美しくそして誰よりも強い・・僕をも虜にするその全てが憎らしいほどに愛おしい・・」

気持ち悪い御託の後にきいたドスの入った葵の声に俺は同調した。

「殺す!!!」

いつもの何オクターブ下なんだ?って声で葵が夜一にかかっていこうとするのを流華が止めた。

「ダメだ葵。神咲を結が殺してはいけない。」

「封流なんでしょ。僕なら勝てるよ!それに・・僕は・・・許さない!!・・流華ちゃんに傷をつけた・・腕を!腕が!!絶対に許さない・・」

こいつもこいつで瞳孔開いてるし変なんだけどな・・。

「静まれ・・」

流華はポケットから緑色の指輪をだして腕を拾いシュワワーっと傷を直して葵が被せたちぎった布を取って・・

綺麗に治った腕を見せて葵に微笑んだ。

「なんともないのだ・・こんなもの・・。お前を呼んだのには理由があるが後で話す。見ていなさい。出来ればこの者達に銀のガードをかけてやってくれるか?情報をやろう。お前に関係する大事なことだ。」

「・・わかったよ。交換だね。それに・・神咲を確かに結が仕留めるわけにはいかない・・」

冷静になったみたいだ・・・。

腕を拾うところはシュール過ぎたが安心した。

黒も青も良いように使ってる。

情報を小出しにして・・

黒いのにも葵にも俺らを助けさせて楽をしてる。

ルカの金のガードが剥がれ葵が銀のガードを全員にかけた瞬間もっと息が楽になった。

これでルカが楽に戦える。

葵が俺らのシャボンに入ってきた。

「わー流華ちゃんのシャボン玉綺麗だねぇ・・」

おいおい傷治ったからもういいのかよ・・。

てかお前入らなくても息出来てたじゃん。

「来てくれて助かったぜ。」

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