俺とアイツといとこ殿!

島での問答の末

玄関にて島民と上役が出迎えた。

「お役お疲れ様でございます。」

「うむ。」

いつものやりとりと羽織をすかさず持ってきた燕。

「皆も聞きたいことがあるとは思うが各家に帰るように。まずは上役との会議があるゆえ島民はあとで通達を待つように。家がこちらに無いものは離れに。」

「はい。」

それぞれに返事をして緊張感の漂う中皆は散りじり帰っていった。

「白虎の間で質疑応答と上役選抜の相談は行う。上役は移動せよ。」

なんでこんなにテキパキしてるんだろう・・。

大賢者が亡くなったっていうのに。

俺はかなり衝撃的で島民達もかなり動揺してた。

アイツだって少し・・してないみたいだ。

お前もルカしか見えてない派か?
ギリ俺も。。やめとこ入らなくていいや。

移動する為に歩いて行く流華はいきなりくるっと踵を返して

「豊一お前も白虎の間に来なさい。」

振り返ってそう言った。

ほういち・・??誰だ・・・?

おずおずと出てきたのはちょいちょい役に立ったあの子供・・の中のチビメガネ。

「え?は・・はい。」

驚いた様子で流華の後ろにくっついて歩いている。

俺らも?_?って顔になったけど白虎の間に行けばわかるだろ。

辺りはもう深夜で真っ暗だった。

そうだよなあ・・飲み始めたのが夜からだし・・。

「バサシ!!」

ええ〜

確かに遠いが・・豊一どうすんの??

まあ上役についていきゃあ着くだろうけど。

変に嫌だろうなあ・・子供一人だし・・。

あ・・でもそんなプレッシャーは流華は当たり前なのか。

「島主様〜」

豊一はバサシにまたがろうとした流華に声をかけた。

「なんだ?」

バサシと流華がガン見している。

豊一なんかよくわからんが頑張れ!!

「僕・・」

「ん?」

「僕もバサシ君に乗ってみたいです!!」

ナヌーー!!

目を輝かせて何を言うと思ったら・・
確かに白いでかい馬だし子供なら乗ってみたいかも。

でも流華とバサシが乗せるか?

「良いぞ。」

ピューと俺らも口笛を吹いて馬を呼んだ。

俺は先週くらいに自分で馬を見に行って買ってきたんだこの野郎!

結構可愛いし早いんだぜ?w

「お前の馬ってさ・・・」

アイツが話しかけてきた。

「ポニーみたいだよな。足短いよね?w」

「ぬ!失礼な!!G1に出せる位のすげー馬なんだぞ!早いし。」

「だからさ。内容は置いといて見た目が小さいしちょっと小太りっていうか筋肉質っていうか・・ポニーみた・・えーー!!流華乗せるの?」

俺とアイツはΣ(´∀`;)ビックリして普通に会話してしまっていたじゃないか!

「ああ。乗りたいらしいので。なにか?」

「いや・・なんでもねえよ?うん。」

ほういちを肩に抱えて流華はバサシに乗った。

うーん・・・そういう意味じゃないんだと俺は思うぞ。

ただ移動するのに一番早い馬に乗りたいっていうか・・カッコイイ的な?

なにそれサンタさんの袋をもつみたいな豊一の扱い。

「流華?またがらせてあげなよ・・・」

アイツがそういった。

「豊一そっちの方がいいのか?」

「・・は・・はい。」

だよな。

流華は豊一をだっこする形でバサシと風になって走っていった。

はえええーーーー

俺は行く前にちょっと嫌な顔をしたバサシの表情を見たぜ。

子供だから許すか的な。

豊一が乗ってるせいか少しゆっくり走ってるみたいだ。

「島主様かっこいいですね。バサシ君。凄く高いし早い〜」

「そうか。バサシは私が知る限り一番美しく強く長生きで早い馬だ。落ちぬようにしっかりと握っておくのだぞ。」

確かに俺の知る限りでも一番長生きな馬だよ・・

「はぁい。」

すぐについたと思ったら流華が降りた瞬間にバサシは豊一を振り下ろすように前足だけ上げたんだ。

ぜってえ嫌だったんだぜ。

宙にほおり出された豊一を俺はキャッチした。俺ナイス!

流華はバサシを撫でて静まるようにと促している。

いや・・馬的な興奮ではないと思うんだ。うん。

流華にスリスリして機嫌のよくなったであろうバサシは帰っていった。

あれ・・バサシの帰っていったあとの軌跡が色が付いて見える。

なんだこれ・・

流華の方をみると少しにっこりしてくれた。

俺もなんだかほっこりしてにんまりしてたら

「キモ・・」

と後ろからボソっと言われた・・

コイツはなんだって俺のオトメンモードを全力で壊すのが得意なんだろ。

白虎の間に着く前に燕が

「お召し物はそのままで?」

「ああ。急ぐゆえ。後で良い。燕も同席しなさい。もう神咲の上役なのだから。」

ああ。そうか。側女というお役でも神咲の名を貰ったらその辺の上役と同じ扱いになるのか。

「はい・・」

燕は頬を赤らめてそう言った。

「豊一と合わせて聞きたいこともあるしの。」

ん?

白虎の間の玉座的な場所に流華が座って燕が入れた熱燗を飲んで煙草を吸って一服していた。

豊一は呆然と立っていた。

「白虎の間って広いしすごいんですね!!!」

「なにがだ?」

いや・・襖絵とか天井画まであるからすげーしこの部屋はよく会議で使うけど装飾品が確かに多い。

「僕どこに座ったら・・?」

「私めも・・」

「燕は神咲とはいえ本来のお役を考えればわかるであろ?豊一はお役の一番端に座るように。」

「お役の端??」

「豊一お役には偉い順があってね。ぐるーっと順番になっているんだ。当主は一番偉いのはわかるよね?」

「はい。」

アイツが説明し始めた。
順番あるのか〜・・・俺らいつも横だから知らなかったぜ。
< 217 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop