ひつじがいっぴき。
☪告白。
わたしが眠れなくなって3日が過ぎた、終礼というショートホームルームが終わったちょうどその時。
井上先生は突然わたしの目の前までやってきた。
「顔色が悪いよ? 帰れる?」
以前、井上先生の目の前で倒れたことがあったから、わたしのことを気にしてくれていたんだ。
本当ならそれはとても嬉しい申し出。
だけどわたしは素直にうなずくことができない。
先生を好きっていう感情があるから……。
優しくされればされるだけ、先生がいなくなった時、辛い。
報われないこの恋が苦しくなる。
「へいきです」
だからわたしは先生の申し出を断り、椅子から立ち上がった。
――なのに……。
あれ?
わたしの視界がまた黒のモザイクで覆われていく……。
どうやらわたしの体は自分が思っていた以上に限界だったみたい。
倒れる!!
そう思った時、だけどわたしの体に衝撃はやって来なかった。
先生が……わたしを支えていてくれたんだ。
「家まで送ろう。すみません、先生少し出ます」
井上先生は担任の先生に一声かけたあと、わたしを背中におんぶして教室を出て行く……。
「いやーっ! なんで新センセがあんな子を背負ってるの!?」
「いいな~、中山さん。あたしも背負われたいっ!!」
ザワザワ……。
ヒソヒソ。
背後からは黄色い声と、非難するような声が聞こえた。