憧れのコンプレックス
episode 4 ~最後のアプローチ~









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@学校


答えを出す約束の日


「3人おるとこで言われたら、俺ら気まずくなるかもしれへんし」

だから17時のチャイムがなったら好きな人に連絡して、と言われた




あたしは正直まだ決断できていない

でも気になる人がいる


最後のアプローチ
「俺、絶対葉山を悲しませるようなことはしないから」
相変わらずジェントルマンな翔くん


「さやを好きな気持ちは誰にも負けねぇ!!」相変わらず力強い孝




最後に芯ちゃんが教室にやってくる

「最後のアプローチゆうてもなぁ難しいなぁ」ボリボリと無造作に頭をかく

相変わらず笑顔のポーカーフェイスで
考えてることが読めない

でも、すごく気になる


芯ちゃんに対するこのもやもやと渦巻いている気持ち
これが何なのか、あたしは突き止めたい



「芯ちゃん…思ってること言って。あたしに対してじゃなくても…芯ちゃんが何を考えてるか知りたい」
「!………」


「芯ちゃん…」

「俺は正直自信がないねん」ポツリとそうつぶやいた


"自信"
まさにそれだ。こないだ感じた違和感
話していてわかる、孝と翔くんには揺るぎない自信がある
でも芯ちゃんは?


「かっしーは秀才で東大A判定。考ちゃんはプロからスカウトされるほどの運動神経の持ち主」


「俺は?俺は何を持ってんねやろってね。たまに劣等感感じんねん」

「みんな、俺おもろいすごいゆうてくれてんねやけど、芸人になりたいってわけやなくて。そんなレベルもないやろし。人笑かすんは楽しいし、俺も無理してやっとるわけやない。でも具体的に2人みたいに何か目に見えてすごいわけやなくて…」


そうだ。人の中心にいて、でもたまに寂しそうな顔をする




「はは…俺なにゆうとるんやろなぁ好きな子の前で」

「せやけど俺、さやちゃんには隠したくなかったからさ。思ってること言ってゆわれて嬉しかった」
またあたしをまっすぐ見る


「悔いはないわ。ありがとうな」
なんでそんな最後みたいに


芯ちゃんはあたしに背を向けて教室を出ていった


あまりに衝撃すぎて
あたしは何も言葉を返せなかった




信じられない


人見知りのあたしからしたら芯ちゃんは憧れで
初対面の人とでもすぐ仲良くなるし
いつもみんなの中心にいて笑っている
芯ちゃんの悪口言ってる人なんて聞いたことないし
常に笑顔で、みんなに元気を与えてくれる人なのに

あたしがどれだけバイトで世話になったか迷惑かけたか
でもいつも気にかけてくれて励ましてくれて
小さながんばりも見ててくれて褒めてくれて
どんなにありがたかったか

いつもまっすぐあたしの目を見てくれるのがどんなに嬉しかったか

芯ちゃんの明るさに救われたのは
きっとあたしだけじゃないはず


そんな人が自分に自信がない?

気づけばあたしの頬を涙がつたっていた

顔をゆがめてしゃがみ込む


だってだって
あんなにすごい人なのに
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