憧れのコンプレックス
episode6  ~親友との出会い 柏木翔side~











俺は柏木翔

昔から勉強はできる方で、クラスでトップの成績を取り続けている
自分で言うのもなんだがいわゆる秀才だ

趣味は読書で、月に15冊は読破する


そんな俺も高校1年になった



新学期のクラス
知り合いは1人もいない


俺は自分の方から友達作りはしない方だ

別にいじめられないし、頭いいやつとは自然に友達になるし、寡黙だと思われ女子にはモテる


うるさい友達なんていらないだろ、と周りに言われてきた




ドッと教室の真ん中で爆笑がおこる

そっちを見やると

背の小さい関西弁の男が
取り囲まれていて、みんなを笑わしていた

いるよな、クラスに1人はああいうやつ
しかし初日であれはすごいな



俺とは無縁のやつだ


…が
いいよな、とふと思う


実は俺はお笑い好き

吉本は毎週見るし、お笑いLIVEにも行ったことがある



だからああいうやつと友達になるのにひそかに憧れていた

でもそんな自分の気持ちを押し殺していて




ある日また関西弁の男、藤堂芯がみんなの中心になって笑わしていた

「いやそれにんじん!」


シーン


「えーなにどーゆう意味?」
「え、え、みんな昨日のリンカーン見てへんの?」
「見てなーい!」「俺も昨日は見逃したー」
「にしし芯すべったね~~」
「す、スベってへーん!見てたら大爆笑の渦で教室揺れてたで!」
またドッと笑いが起こる
「大げさだっての~!!」




俺は内心ドキドキしていた
昨日のリンカーン、ばっちり見た


藤堂は今俺の後ろの席で、席に戻るため、俺の横を通る


今まで味わったことないくらいの緊張感

手に汗がにじむ


「…それゆうなら大根役者やろ」


ツ、ツッコんでしまった!話したこともないのに!


俺が恐る恐る顔を上げるとそこには目を丸くした藤堂がいた
「ほぇー!!柏木くん、昨日のリンカーン見てたの!」

「超うれしい。そやねん、そのツッコミがほしかったねん。ありがとーなー!」


それから、後ろの藤堂はことあるごとに俺に話しかけてきた



俺がリンカーン見てることを意外だと思ってないみたいに

みんなと話すときと同じ笑顔で

頭いい奴扱いされるのも嫌いじゃないが、俺はこの扱いが嬉しかった

「なぁかっしー!」
「か、かっしー?」
「ニックネーム!ええやろ?俺ら仲良しこよし」にーっと人懐こい笑顔


どこかが
なんかこいつには敵わない気がする



芯と仲良くなって1ヶ月
1人のクラスメイトを紹介された

「かっしー!こっち孝ちゃん。怖そーだけどけっこうアホやで」
「あ、こっちはかっしーな!ガリ勉そうやけどおもろいやつやで」



成瀬孝

バスケ部で図体でかく、つり目で茶髪
怖そうとは思わなかったが、一目見たときからバカそうだと思った

芯よりも
何も考えず動いてしゃべって

けっこうグサッとくることを悪意なく言う


でもこいつとはなぜか馬が合った

全く正反対だからだろう

「相補性だな」
「ソーセージ?」

バカだ



でもバスケをしている孝を見て
やっぱ男から見てもかっこいいと思った

バスケのことは詳しくないが、相当な練習量を積まないとできないであろうプレー

そして熱血漢で仲間想い



「ええな孝ちゃん、もうちょい右腕を!」
「できた!このポーズかっこよくね?」


フィギュアなんか持って
またバカ2人がなんかやっている


止めに行くか、混ざるか


どっちでもすごく楽しい

あいつらとバカやるのは
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