憧れのコンプレックス
episode 8  ~エピローグ~










今まで芯ちゃんに対して、もやもや渦巻いていたよくわからない想いが
涙を流すことでスッとまとまった


ー好きー

と強く思った


あの人の隣にいたい

自信がない人があんなに人をまっすぐ見れるの?

伝えなきゃいけない
あたしがどれだけ元気をもらったか
あなたがどれだけすごい人か



時計を見ればもうすぐ17時
あたしはケータイを取り出して
"芯ちゃん"とだけ打った

チャイムと同時に送信


"悔いわないわ、ありがとうな"
なんでそんな最後みたいに

あたしが最後にさせない





「はぁっさやちゃん!!」芯ちゃんが息を切らせて教室に入ってきた


「好き!あたし芯ちゃんが好き!自信がなくてもなんでもいい!そのままの芯ちゃんがいい!」顔を見た瞬間あふれるあたしの想い

「さやちゃん…」

「芯ちゃんの特技は目に見えないものなのかもしれない!でもそれが1番尊敬できるものだとあたしは思うの!」

「うん…さっきの話、かっしーと孝ちゃんにも聞こえとったみたいでな。同じようなこと言われて…俺も…そう思えるようなった」
そう言って、力強く笑う

…よかった
これは本当の笑顔だ

3人の友情の素晴らしさと芯ちゃんの笑顔に胸が熱くなる



芯ちゃんが近づいてきて、そっとあたしの目尻をなでる
「泣いたん?」

「あ、その…」
「俺のために泣いてくれたん?」その声はものすごく優しくて

「…うん。でもそれであたし芯ちゃんが好きなんだなってわかったんだよ!!」

ふ、と優しい笑み




くい、と引っ張られて強く抱きしめられた


…あったかい
また泣いてしまいそう
でもこんどは幸福の涙で

あたしも強く抱きしめ返す



夕焼けの光があたしたち2人を優しく温かく、包みこんでいた
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