桜まち
鈍感?
―――― 鈍感? ――――
昨日、色々と新しい物で着飾り張り切ったせいなのか。
それとも、新しいヒールで捲れてしまった傷のせいなのか。
何故だかイライラして飲みすぎたせいなのか。
とにかく、なんにしても今日は朝から体がダルかった。
「なーんにもしたくな~い」
お昼近くになってもベッドから抜け出せずに、ぬくぬくとした布団の中でウトウトとしてしまう。
朝食も口にしていないのに、珍しくお腹も空かなかった。
きっと、夜中にラーメンを食べたせいなんだろうな。
太ってなきゃいいけど。
「うぅっ」
ゴロンと寝返りを打って、ぼんやりと部屋の壁を見て考える。
それにしても、昨日は幸せだったなぁ。
まさか望月さんと一緒にラーメンを食べにいくことになるとは思わなかったし。
更に更に、お姫様抱っこまでしてもらって。
むふふふふ。
足は痛いけど、このくらいの怪我でお姫様抱っこなら悪くないな。
ニタニタしながら枕元に置いておいたスマホを手に取ると、ダラダラと寝ていた間にお祖母ちゃんから電話が来ていたみたい。
携帯の音に気づくこともできないくらい、私ってば爆睡していたのね。
もぞもぞと布団の中からお祖母ちゃんに折り返す。
「もしもし、なに?」
名乗りもせずにそう言うと、くぐもった私の声を聞いてお祖母ちゃんが呆れているのが電話口からでも判った。