桜まち
誰のせい?
―――― 誰のせい? ――――
相変わらず、何の生産性もない会議が長々と続き、やっと終わりを迎えていた。
「じゃあ、以上。お疲れ様」
営業部長の掛け声で解散となり、私もノートブックを閉じる。
「はぁ~……」
「随分と深い溜息ついてんじゃん」
溜息を零し、PCを持って立ち上がると、さっきまで会議に参加していた営業の佐藤君がそばに来た。
彼とは、あのクリスマスで絡まれて以来だ。
「この前は、悪かったな。ちょっと悪ふざけが過ぎた」
佐藤君は紳士的な態度で頭を下げると、ところで。といって急に顔を近づけてきた。
「この前は酔ってたから信じてもらえなかったと思うけど。あれ、意外と本気だったりすんだけど。どう?」
「あれ?」
近づいてきた顔に向かって、訝しげな表情をして訊き返す。
「俺と付き合うって話だよ」
「ああ。まーた。冗談言ってないで、仕事しなよ。花形の営業なんでしょ」
「だから、冗談じゃなくてさ。あ、じゃあさ。今日飲みにいかね?」
何故そうなる。
「こんな私で手を打っても仕方ないでしょ」
呆れて零すと、まあまあ。なんて肩を抱かれた。
また、これだよ。
佐藤君は、酔っていてもいなくても、こんなことを平気でできちゃう人なんだね。
呆れている私のことなんて無視で、肩を抱いたまま佐藤君が口説き始めた。