桜まち
「そこまではっきり言い切られると。なんか、清々しいよ」
「そういうわりには、なんか笑ってませんか?」
頬が緩んでいるのを見て取り突っ込むと、声を上げて笑われた。
「なんかさー、川原さんといるとスゲー楽しいよ。いつもニコニコしてて明るいから、一緒に居ると気が楽だし、楽しめる」
ひゃあー。
嬉しいこといってくれちゃうんだから、望月さんてば。
惚れてまうやろーーーっ。
って、既に惚れてるんですがね。
「この前は、風邪でだめだったけど。また、ラーメン行こうな」
「はい。是非っ」
「ラーメンで思ったけど。ちょっと小腹空かないか?」
確かに、さっきから口にしているのは、チーズと生ハムくらいだ。
しかも、一人で自棄酒だと思っていたから、そのチーズや生ハムの量もたいして買っていなかった。
それを二人で分けて食べているのだから、おなかが空いて当然だ。
そうだ。
「うどん。食べますか?」
「うどん?」
「はい。前に私のことストーカーって言っていた時に、半分ずつ食べたうどんです」
「ああ。ストーカーの時のうどん」
そういって、望月さんが笑う。
「今日は、お揚げとネギ以外に椎茸つけちゃいます。しかも、半分ずつじゃなくて、一人前ずつありますよ」
「ははっ。椎茸がプラスの一人前か。じゃあ、貰おうかな」
「了解しました」
嬉しそうに笑う望月さんの顔を見て立ち上がると、さすがに飲みすぎたのか足に来ていた。
ヨロヨロとして、近くの壁に手をついてしまう。
「おいおい。大丈夫かよ」
「平気です。平気です」
ヘラヘラ笑ってみたものの、これはちょっと。いや、結構来てるかも。
けど、望月さんの前でゲロゲローなんて、できるわけもないので、私は気合を入れてキッチンへ向かった。